【鳴かないカラスは死を告げる】
文字数 2,194文字
自分を優秀だと思えるだろうか。
大概の人はこの疑問にノーと答えるだろう。そもそも、自分で自分を優秀だと答えるヤツにろくなヤツなどいないし、大体においてそういうヤツは優秀ではないのが現実だ。
悲しいことではあるが、その人が優秀であるかどうかを決めるのは、いつだって自分以外の誰かなのだ。自分のことをどんなに優秀だと思っていても、周りからの評価が低ければそれまでだし、自分がどんなにダメなヤツだと思っていても、周りから優秀だと思われていれば優秀という評価に繋がるのだ。
結局、自分の評価など他人次第ということだが、悲しいことに他人と自分の評価が見事に一致してしまうことだって少なからずある。
それは、自分も他人も、自分自身のことをダメだと思っている場合だ。
自分自身をプラスに考えていても他人は共感はしないが、自分自身をマイナスに考えるとどういうワケか他人にも共感されがちになる。
これが本当に微妙なところで、他人の評価というモノが如何に不安定かを物語っている気がするのだ。
さて、かくいうおれだが、いうまでもなく自他共に認めるような不出来な人間だ。
多分、誉められた経験なんて、居合と沖縄空手、ボーカルレッスン以外ではまったくないし、それ以外の点ではてんでダメ。
芝居においても恐ろしいほどに誉められたことはなく、むしろダメ出し以外をされた経験がないという。正直、そんなんで良く続けるよなと自分でも思う始末である。
そんな感じで、何をやっても評価は地の底を這いずり回っているような体たらくなワケだ。
だが、そんなおれでもひとつだけ記憶に残るような優秀賞のようなモノを頂いたことがある。まぁ、最終的な賞は存在しなかったのだけど、代表という形で選出されたという意味でも、な。さて、今日はそんな話ーー
あれは中学三年の二学期の終わり間際のことだったと思う。時系列が間違ってたらすまん。
その頃にもなると高校受験の勉強に忙しくて、公立中学でやるカリキュラムどころなどではないといった感じで、表向きはちゃんと授業を聴いてはいるけれど、裏では受験勉強のほうをどうするか考えたりとそんな感じだった。
そんな中で行われたのが、総合学習だった。
総合学習といっても、正直何が総合なのかわからないのだけど、取り敢えず環境問題とかを何となくまとめておけばいいみたいな感じだったーーつくづく何が「総合」なのかわからん。
そんな総合学習ではあるけれど、どういうワケか、四つあるクラスがシャッフルされ、各クラスのメンバーがごちゃ混ぜになった状態での授業が通例となっていた。
そんな中、最終的なグループでの発表会が行われることとなったのだ。
このグループ発表は、四クラスごちゃ混ぜの、どのクラスの誰とでも組んでよく、発表の内容も総合学習の範疇に収まっていれば何でもいいというモノだった。
そこでおれは、たまたま同じクラスに配属された榎本と麦藁のふたりとグループを組むことにしたのだ。
組んでまずすべきことは、テーマをどうするか、だ。正直、総合学習っぽいテーマといっても、曖昧ではあるが、逆に範囲も広くて中々決めづらいモノがあった。
どうしようかと悩みながら資料を捲っていたのだけど、そこで何となく目についたのがーー
カラスの生体に関する話だった。
まぁ、これなら総合学習的な自然環境の話にも通ずるだろうし、何とか発表の時間も持たせられるだろうということで、おれら三人は合意し、担当の教員に仮決定のテーマを告げに行ったのだ。
テーマの仮決定は容易に済んだ。そもそも、明らかに総合学習の範疇から外れていなければ、何の問題もなかったのだと思う。まぁ、総合学習なんてそんなモンよな。
さて、テーマの仮決定はなされた。ここからは資料集めとどういう形式で発表を行っていくかを考えていかなければならない。
だが、せっかく学年でも一位二位を争う優等生の榎本と、その小判鮫のような麦藁とグループを組んだのだ、どうせならちょっと他のグループとの差別化を図りたいと思った。そこで考えたのがーー
劇形式での発表だった。
これには榎本も、小学校の時に演劇クラブにいた麦藁もすぐさま合意した。
他のグループがやるであろう発表といえば、基本は模造紙に概要ーーあるいは発表内容すべてーーを書き、それを読み進めて行く、といった感じになるだろうが、劇による発表という形なら、他とも被りづらく、差別化も出来るだろうと思ったワケだ。
そうと決まれば、早速資料集めと芝居のプランを練らなければならない。おれたち三人は資料集めを名目に、総合の時間をフルで使って、図書室やパソコンルームに入り浸った。とはいえ図書室には余りそれらしい資料もなく、結局はパソコンルームでの作業が主となったけど。
パソコンルームでのネットを使った資料集めは効率的に進んだ。カラスといっても、大きく「ハシボソ」と「ハシブト」の二種に分けられることや、その習性、ゴミに関する振る舞い等、色々と違うようだった。
資料は着々と集まって行った。そこでいよいよ、芝居のほうをどう動かして行こうか話し合うことになったのだーー
とまぁ、長くなりそうなんで今回はここまで。まぁ、どうなったかは、別の話で書いちゃってるんだけど、それはそれということで。
来週の木曜更新分ででも続きを書きますわ。
アスタラ。
大概の人はこの疑問にノーと答えるだろう。そもそも、自分で自分を優秀だと答えるヤツにろくなヤツなどいないし、大体においてそういうヤツは優秀ではないのが現実だ。
悲しいことではあるが、その人が優秀であるかどうかを決めるのは、いつだって自分以外の誰かなのだ。自分のことをどんなに優秀だと思っていても、周りからの評価が低ければそれまでだし、自分がどんなにダメなヤツだと思っていても、周りから優秀だと思われていれば優秀という評価に繋がるのだ。
結局、自分の評価など他人次第ということだが、悲しいことに他人と自分の評価が見事に一致してしまうことだって少なからずある。
それは、自分も他人も、自分自身のことをダメだと思っている場合だ。
自分自身をプラスに考えていても他人は共感はしないが、自分自身をマイナスに考えるとどういうワケか他人にも共感されがちになる。
これが本当に微妙なところで、他人の評価というモノが如何に不安定かを物語っている気がするのだ。
さて、かくいうおれだが、いうまでもなく自他共に認めるような不出来な人間だ。
多分、誉められた経験なんて、居合と沖縄空手、ボーカルレッスン以外ではまったくないし、それ以外の点ではてんでダメ。
芝居においても恐ろしいほどに誉められたことはなく、むしろダメ出し以外をされた経験がないという。正直、そんなんで良く続けるよなと自分でも思う始末である。
そんな感じで、何をやっても評価は地の底を這いずり回っているような体たらくなワケだ。
だが、そんなおれでもひとつだけ記憶に残るような優秀賞のようなモノを頂いたことがある。まぁ、最終的な賞は存在しなかったのだけど、代表という形で選出されたという意味でも、な。さて、今日はそんな話ーー
あれは中学三年の二学期の終わり間際のことだったと思う。時系列が間違ってたらすまん。
その頃にもなると高校受験の勉強に忙しくて、公立中学でやるカリキュラムどころなどではないといった感じで、表向きはちゃんと授業を聴いてはいるけれど、裏では受験勉強のほうをどうするか考えたりとそんな感じだった。
そんな中で行われたのが、総合学習だった。
総合学習といっても、正直何が総合なのかわからないのだけど、取り敢えず環境問題とかを何となくまとめておけばいいみたいな感じだったーーつくづく何が「総合」なのかわからん。
そんな総合学習ではあるけれど、どういうワケか、四つあるクラスがシャッフルされ、各クラスのメンバーがごちゃ混ぜになった状態での授業が通例となっていた。
そんな中、最終的なグループでの発表会が行われることとなったのだ。
このグループ発表は、四クラスごちゃ混ぜの、どのクラスの誰とでも組んでよく、発表の内容も総合学習の範疇に収まっていれば何でもいいというモノだった。
そこでおれは、たまたま同じクラスに配属された榎本と麦藁のふたりとグループを組むことにしたのだ。
組んでまずすべきことは、テーマをどうするか、だ。正直、総合学習っぽいテーマといっても、曖昧ではあるが、逆に範囲も広くて中々決めづらいモノがあった。
どうしようかと悩みながら資料を捲っていたのだけど、そこで何となく目についたのがーー
カラスの生体に関する話だった。
まぁ、これなら総合学習的な自然環境の話にも通ずるだろうし、何とか発表の時間も持たせられるだろうということで、おれら三人は合意し、担当の教員に仮決定のテーマを告げに行ったのだ。
テーマの仮決定は容易に済んだ。そもそも、明らかに総合学習の範疇から外れていなければ、何の問題もなかったのだと思う。まぁ、総合学習なんてそんなモンよな。
さて、テーマの仮決定はなされた。ここからは資料集めとどういう形式で発表を行っていくかを考えていかなければならない。
だが、せっかく学年でも一位二位を争う優等生の榎本と、その小判鮫のような麦藁とグループを組んだのだ、どうせならちょっと他のグループとの差別化を図りたいと思った。そこで考えたのがーー
劇形式での発表だった。
これには榎本も、小学校の時に演劇クラブにいた麦藁もすぐさま合意した。
他のグループがやるであろう発表といえば、基本は模造紙に概要ーーあるいは発表内容すべてーーを書き、それを読み進めて行く、といった感じになるだろうが、劇による発表という形なら、他とも被りづらく、差別化も出来るだろうと思ったワケだ。
そうと決まれば、早速資料集めと芝居のプランを練らなければならない。おれたち三人は資料集めを名目に、総合の時間をフルで使って、図書室やパソコンルームに入り浸った。とはいえ図書室には余りそれらしい資料もなく、結局はパソコンルームでの作業が主となったけど。
パソコンルームでのネットを使った資料集めは効率的に進んだ。カラスといっても、大きく「ハシボソ」と「ハシブト」の二種に分けられることや、その習性、ゴミに関する振る舞い等、色々と違うようだった。
資料は着々と集まって行った。そこでいよいよ、芝居のほうをどう動かして行こうか話し合うことになったのだーー
とまぁ、長くなりそうなんで今回はここまで。まぁ、どうなったかは、別の話で書いちゃってるんだけど、それはそれということで。
来週の木曜更新分ででも続きを書きますわ。
アスタラ。