【一年三組の皇帝~睦拾弐~】
文字数 743文字
完全に呆気に取られていた。
ぼくはハッとした。和田はぼくに給食皿を差し出した。ぼくは礼をいいながらそれを受け取ろうとした。と、和田はーー
「人間、極端に腹が減ってるか、睡眠が足りないか、体調が悪いと集中力がなくなるんだってさ」和田のいっていることの意図がまったく理解出来ずにいると、和田は更に続けた。「今の林崎くんは......、全部だろうね。もし、何かやろうって思うんだったら、少し休んでからのほうがいいよ。集中力のなさは命取りになりかねないから」
ぼくは唖然としつつ、和田に礼をいった。和田は意味深な視線をぼくに投げるとそのまま去って行った。ぼくは給食を見下ろした。焼きそばにほうれん草のソテー、それから焼き魚。......そういや、ここ最近食べることすら作業になってしまって、各々の献立を思い出すのも少し時間が掛かる。それくらい、食事のことに無関心になっていた。食べることは好きなはずなのに。
今日、やると決めた。だが、和田のいうことも一理ある。何より、人から見て明らかに不調だとわかる状態なのに、集中力が必要な場面に足を踏み入れるのは無謀というモノ。
もう少し、考え直したほうがいい。
少なくとも、自分にとってネックな要素は今の内に何とかして、それから身体を休ませてから行動に移るべきだ。
給食の時間は気づいた時には終わっていた。昼休み、『ネイティブ』が始まった。ぼくはそれを遠巻きに見ていた。と、つまらなそうにしていた海野と山路がうしろのドアから出て行った。ぼくはそれを見て、敢えて前のドアから出て、ふたりの後を追った。
「なぁ」
ぼくは山路と海野に声を掛けた。ふたりはすごく不機嫌そうだった。海野がいった。
「......何だよ?」
「ちょっと、頼みがあるんだけどーー」
【続く】
ぼくはハッとした。和田はぼくに給食皿を差し出した。ぼくは礼をいいながらそれを受け取ろうとした。と、和田はーー
「人間、極端に腹が減ってるか、睡眠が足りないか、体調が悪いと集中力がなくなるんだってさ」和田のいっていることの意図がまったく理解出来ずにいると、和田は更に続けた。「今の林崎くんは......、全部だろうね。もし、何かやろうって思うんだったら、少し休んでからのほうがいいよ。集中力のなさは命取りになりかねないから」
ぼくは唖然としつつ、和田に礼をいった。和田は意味深な視線をぼくに投げるとそのまま去って行った。ぼくは給食を見下ろした。焼きそばにほうれん草のソテー、それから焼き魚。......そういや、ここ最近食べることすら作業になってしまって、各々の献立を思い出すのも少し時間が掛かる。それくらい、食事のことに無関心になっていた。食べることは好きなはずなのに。
今日、やると決めた。だが、和田のいうことも一理ある。何より、人から見て明らかに不調だとわかる状態なのに、集中力が必要な場面に足を踏み入れるのは無謀というモノ。
もう少し、考え直したほうがいい。
少なくとも、自分にとってネックな要素は今の内に何とかして、それから身体を休ませてから行動に移るべきだ。
給食の時間は気づいた時には終わっていた。昼休み、『ネイティブ』が始まった。ぼくはそれを遠巻きに見ていた。と、つまらなそうにしていた海野と山路がうしろのドアから出て行った。ぼくはそれを見て、敢えて前のドアから出て、ふたりの後を追った。
「なぁ」
ぼくは山路と海野に声を掛けた。ふたりはすごく不機嫌そうだった。海野がいった。
「......何だよ?」
「ちょっと、頼みがあるんだけどーー」
【続く】