【無駄なことがあるかッ!】

文字数 2,451文字

 人生において無駄なことがあると思うだろうか。

 これに関しては何とも断言しづらいモノがあると思う。というのも、人生、どんなに無駄だと思えるモノにも、後々考えたら役に立っていることはいくらだってあるのだから。

 例えていうならば、趣味なんかがそうだと思う。個人の趣味など他人から見たらカスやゴミ程度の意味合いでしかないだろう。だが、やっている当人からしたら、個人の満足度から成長、精神的な支えとして様々な面における収穫となり、黄金以上の価値になりうるワケだ。

 そんな人にとって黄金以上の価値になりうるモノを無下に無駄というのは残酷というか、自分本意なモノの見方しかできずに残念というか。だが、そういう人はこの世に多分にいる。

 たまにワイドショーでやっている、夫の趣味のモノを気持ち悪いといって勝手に棄ててしまう妻の話何かがそうだ。アレだって、妻にとってはゴミでも夫にとってはかけがえのないモノなのだ。それを勝手に棄てるなど言語道断。何があっても絶対にやってはいけない。

 まぁ、この世に無駄と断言していいのは、それこそ来年度の予算を工面するために行われる工事とそれに掛かる税金、議会で寝るーー何でもありませんわよ。

 あと、どうでもいいけど、ゴキブリや蚊なんかの害虫はそれこそ無駄だといいたくなる。

 よく、害虫も絶滅したら生態系が崩れるという話が出てくるけど、影響があるのは最初の三ヶ月程度で、それを過ぎてしまえば、新しい食物連鎖の形が出来上がり、生態系も安定するのだとか。なら要らないじゃん、とこれまで悩まされたことも考えると、そんなセンシティブなこともいいたくもなる。

 ついでに害を及ぼす程の雨や地震やーーまぁ、自然の摂理に文句をいったって何にも解決はしないのはわかっているのだけど。

 ただ、そういったどう考えても害悪でしかないようなモノも案外、ある人にはそうでないことも普通にあり得るワケだ。

 かくいうおれはというと、誰かのバーター、下位互換としてしか存在価値がないこともあって、無駄そのものじゃんとしか思えないのだけど、こんなおれでも鉄砲玉的な利用価値だけはあることもあって、必ずしも無駄であるワケではないというワケだ。

 そう、どんなモノにだって適材適所、完全に役に立たない、無駄なモノなど存在しない。

 要は無駄かどうかというのも、所詮は個人の主観でしかないということなのだ。さて、今日はそんな無駄に纏わる話ーー

 あれは大学三年の時のことで、その日はちょうど実験の日だったのだ。

 まぁ、出来が悪いとはいえ、曲がりなりにも理系の学生だったおれも実験くらいはしたのだけど、この実験というのは二年の後期から始まって、三年の前期、後期と進んで行く毎に難易度も手間もキツさもグレードアップしていくという中々に過酷なモノだった。

 この時はまだ三年の前期だったので、そこまでハードではなかったと思うのだけど、とはいえキツイもんはキツいよね。

 そんなキツイ実験の日とはいいつつ、この日はレポート提出の日で、班の人と共にパソコン室でシコシコと作業し、何とか時間内でレポートを書き上げて提出することが出来たのだ。

 いやぁ、疲れた。そんな感じで解放感を感じながら、おれは班の仲間と大学の研究棟を出たのだ。がーー

 雨が降ってやがったのだ。

 また雨かよと思わずため息をつかずにはいられなかったのだけど、まぁ、梅雨時だし仕方なかったよね。だが、おれはこの時点で雨が大嫌いだった。この前の記事で、高校生の時には雨が嫌いだったかもとは書いたけど、多分、本格的に嫌いになったのは大学二年の時からだったと思う。というのもーー

 おれが住んでいた街というのが海沿いの街だったからだ。

 海沿いの街は潮風の影響なんかもあって、ちょっと雨が降っただけでも風がビュンビュン吹く。傘を差したところで風に煽られた雨が下半身をびしょ濡れにしてしまうし、何より潮風の影響もあってかメチャクチャに冷たい。

 もうマジで需要ないから雨は降るなって感じだったよな。まぁ、需要ないのはこの時点のおれに取ってで、完全に雨が降らなくなったらなったで絶対に雨降れよって話になるんだけど。

 そんなこともあって、おれは取り敢えずサークル棟に避難しようと思い実験仲間と別れたのだけど、改めて考えたらサークル棟に行くよりも早く帰ったほうがベターだと気づいてしまったのだ。別にサークル棟行ってもスマブラしかやらねぇしな。それだったら家に帰ってレンタルした映画でも観たほうが絶対いい。

 が、雨は酷い。大学から下宿先までは歩いて五分から十分程度。自転車ならその半分だが、この日は雨が降ると聴いていたこともあって歩いて大学まで行っていたのだけど、

 傘を家に忘れて来てしまったんよな。

 何と無駄な。何故こういう時に限って傘を忘れてくるかね。自分でも呆れてしまうよな。

 そんなこんなで、おれは構内を通りながら大学の正門近くの玄関まで行き、そこから生協まで走ったのだ。ちょっと走っただけとはいえ、濡れ具合は地味に酷かった。

 だが、完全に濡れるよりはマシだろう。そう思い、おれは生協で傘を買って外に出、傘を差したのだ。これで濡れを最小限に抑えられる。そう思いながら、おれは雨中を歩き出した。が、その時、急な潮風が吹いた。そしたらーー

 買ったばかりの傘がぶっ壊れたのだ。

 これには流石の五条氏もぶちギレですよ。もう、天と雨に向かって思わず「死ねーェッ!」とか叫びそうになったよな。まぁ、それをやってしまったらおれが通うべきは大学ではなく精神病院になるんだけど。

 結局、買った傘が瞬殺されて、また傘を買う気にもならず、そのまま濡れながら帰路についたのでした。マジ、実験を終えた解放感もすべて不快感に変わったよな。

 ちなみに、この一件を切っ掛けに、雨が降っても傘を差さなくなったよな。何でかって?

 すぐ壊れて無駄になるからだよ!

 多分、世の中には本当に無駄なモノもあるんだと思うよ。うん……。

 アスタラ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み