【凍える夜は、過ぎ行く時間の軌跡】

文字数 1,943文字

 今日はちょっと予定変更。

 本来なら『居合篇』の続きを書くつもりだったんだけど、昨日、ほんのちょっと麻生と会ってきてな。色々と話して来たんで今回は昨日の麻生との話をしていこうと思う。

 麻生って誰って思った人の質問にお答えすると、麻生はおれの小、中学校時代の友人だ。成績は学年ナンバーワン、ただし時々ワケのわからないトラブルを起こす。そんな人。

 この度、麻生と会うこととなったのは、麻生から食事に誘われたからだった。

 ただ、麻生は本来ならそのまま五村に滞在する予定だったんだけど、翌日に大学で用事があるとのことで、わざわざおれと飲むためだけに数時間掛けて五村に戻ってき、数時間掛けて下宿先に戻っていった。さすが規格外。

 大学といったが、麻生は大学の職員ではない。学生だ。年齢的に見ても大学生ではないし、もっといえば、麻生は既に国内最高の国立大を卒業済である。

 さて、そういうとワケがわからなくなるだろう。特に、これまでの駄文集を読んでいない人にとっては完全に意味が不明だと思う。

 結論からいえば、麻生は国内最高の国立大を卒業後、県庁に数年勤め、「手に職をつけたい」という理由から某国立大の医学部に編入した現役の学生なのだ。当然、編入に際し、試験はあったし、試験勉強は仕事後にちょくちょくやっていたら普通に試験をパスしたとのこと。化け物かな?

 が、彼が医学部に編入してもう四年が経つ。そんな彼も数日前に卒業試験をパスし、卒業が確定し、病院に配属されることが決定したのだという。

 ただ、本人曰く、「社会人の生活から学生への生活へのチェンジは容易だったけど、学生から社会人への生活にはチェンジしづらいわ。働きたくねー」とのことだった。

 何というか、一度社会人になった人間らしいコメントだ。

 案外、社会を知らずにバイトをやっていることを鼻に掛けているような学生のほうが、働く意欲は高い。だが、一度社会を知ってしまうと、学生時の無軌道な自信もないため、働くことに対し億劫になるのだろう。そりゃそうよな。

 会話の内容は本当に下らない話から、学術的、哲学的な話、そして、健康面や肉体面に関する話と多岐に渡ったのだけど、健康面、肉体面の話をするというのは、やはり年を食ったのだろうなと改めて思う。

「変なこというけど、お前って全然ハゲてないよな」

 こんな風に麻生にいわれるとは思ってもいなかった。まぁ、事実、おれは全然ハゲていないのだけど、同期の中には既に登頂部が開拓時代のワイルドフロンティアみたいになっている人もいる。ちなみに、麻生は、

「おれ、登頂部ヤバイんだよな」

 とのことだった。確かに学生時代ーーややこしいんだけど、最初に学生やってた時なーーと比べて髪が減ったのは何となく思う。麻生だけじゃない。同級生で今でも交流のあるメンバーの中にも髪の量が明らかに減ったヤツがいる。

 これが中学時代とかなら、「やい、ハゲ!」みたいにいっていたのかもしれないけど、この年になるとそんなことをいうのは、マナー違反も甚だしい。おれの口からマナーということばが出るとはな。

 だが、いってしまえば、近い内に自分もそうなるかもしれない。そう考えたら、髪の量がどうということで人のことをネタにできないのが現実だったりする。

「あぁ、まぁ、この年齢になったら仕方ない。おれもいつかそうなるかもしれんしな」

 こんな無難な回答しかできなかった。というより、それ以上の回答が思いつかなかった。

 ちなみに、おれの髪は美容師が「キミの髪はどうなっているの?」というような変な髪質なのだそうだ。

 というのも、量がそもそも多く、髪質は柔らかいサラサラヘア。にも関わらず頑固でちょっと整髪料をつけたくらいじゃすぐに元に戻ってしまうという変な髪質だった。

 本来、サラサラヘアは抜けやすくハゲやすいというが、おれはその真逆、抜けにくく、量もあってハゲにくい。個人的には、そんな剛毛にウンザリしているのだけど、髪の毛の有無の話になると、まぁ、いい髪質なのかなとは不意に思うのだ。

 それはさておき、年を取ったものだ。長い付き合いになると、それを意識するのも仕方ない。

 髪が薄くなるヤツもいれば、腹が出てくるヤツもいる。筋トレに目覚めてがたいがよくなっているヤツも中にはいる。

 性格がセンシティブになるヤツもいれば、丸くなるヤツもいる。時間の流れというのは、時に残酷で、時に美しい。

 一〇年後は果たしてどうなっているだろうか。

 そんな感じで、三時間ほど飲み食いして解散した。帰り道、不意に頬に冷たいものを感じ空を見上げると、小粒の雪が空を舞っていたーー

 とまぁ、今日は殆ど雑談みたいになってしまったな。次回からまた通常に戻るーー予定。

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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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