【毒の街に咲く惡の華】

文字数 3,089文字

 ドラマのような恋がしたいという決まり文句にはウンザリだ。

 こんなことをいうとロマンのないヤツだといわれるだろうけど、最近の恋愛ドラマには青春モノか不貞モノばかりで正直辟易している。

 こんなことをいうと、どうせモテないことに対する僻みなんだろ、ともいわれかねないだろうけど、実際おれはこころの底からモテないーーというか良縁に縁がない。

 まぁ、そんなことをいっている時点で自分で自分のことを「事故物件です」と称しているようなモンなのだけど、事故物件には事故物件になった理由というものがある。

 実をいえば、おれは完全にモテないワケではない。ただ、モテる相手を根本的に間違っているからこそ、そっぽを向いているだけなのだ。

 じゃあ、そのモテる相手を根本的に間違っているとは何なのかって話なのだけど、早い話がワケありな女に好かれがちということだ。

 ワケありの女って何って感じだろうけど、まぁ、所謂「ゲス」な願望を持つ女のことですよ。ただ、おれにはそんな願望はないんで、いつも断るんだけど、本当におれは間違った相手にモテる星のもとに生まれてしまったようだ。

 てか、シナリオの中でも書いてるけど、そういった関係が本気になることなんか絶対ないんよな。所詮は単なる火遊び。誰も幸せにならないどころか、みんなを不幸にする。ほんと、ワケありな関係ってのは、ろくなモンじゃない。

 さて、そんなおれではあるけど、今日はそんな女性関係の話。ちなみにワケありの関係をロマンチックに描くとかそういう話ではないです。おれ、そういうの本当に嫌いなんでーー

 あれは大学一年の時のことだった。

 その当時はまだ大学に入って一、二ヶ月程度で、おれも受験がないストレスフリーな状態で毎日がスペシャルで仕方なかった。

 そんな中、おれはとある教養の授業の中で、とある女子と仲良くなったのだ。まぁ、仮に名前を「レンカ」とでもしとくか。

 始まりは講義内で行われるグループワークだった。学部も違う人たちと突然グループワークをするとなると、基本みな受けの姿勢になりがちだ。その時もそうで、取り敢えずは自己紹介からということになったのだ。

 自己紹介が終わると教授の指示でグループ内で自己紹介をすることになった。そこで、おれとレンカは繋がった。切っ掛けは互いに好きなバンドが被っていたからだった。プラス、おれがバンドを始めたということもあって、レンカの食い付きは良かった。

 そして、ある日の授業にてレンカから連絡先を交換しようという風にいわれ、おれもそれを快諾し、それからはそれなりの頻度でレンカとメールをやり取りする仲になり、一緒に食事に行ったり、講義終わりに家まで送ったりするようになった。

 まぁ、その当時は男子校という精神的な牢獄から懲役三年の刑期を終えて解き放たれたばかりだったこともあって、かなりドキドキした。この時のおれはウブだったんよ。

 さて、そんなこともあってレンカとの距離も確実に縮まっていたのだけど、ある日、レンカがおれの家に遊びに来た時、こういったのだ。

「実は彼氏と別れそうなんだ」

 まぁ、結構仲が良かったとはいえ、彼氏の有無に関しては訊く勇気もなくて訊いてなかったのだけど、彼女の口から彼氏がいると聴かされると、それはそれはショックだった。

 別れそうだとかは関係なかった。ただ、シンプルに自分は彼氏持ちの女性と何をやっているのだろうという虚しさに駆られるしかなかった。

 まぁ、その日はそれで終わったのだけど、数日後、レンカからこんなメールが届いたのだ。

「彼氏と別れた」

 別れそうとはいっていたけど、本当に別れてしまうとは。とはいえ、おれは強かでもなければ、狡猾でもなかった。

 別にレンカが彼氏と別れたからといって自分にチャンスが回ってくるワケじゃない。

 だが、心配じゃなかったかといわれるとウソになる。おれはレンカに、

「そうか……。もし良かったら話を聞くよ」

 とメールを送った。が、彼女の答えは、

「ありがとう。でも、今はそういう気分じゃないんだ……」

 だった。それも無理はないだろう。破局時に消費されるエネルギーは計り知れない。おれは無難なワードを送り、メールを切った。

 それから二日後、レンカに家に来ないかと誘われた。おれはそれを承諾した。

 その日は互いに授業が午前終わりだったこともあって、二限の講義終了後に大学の正門前で待ち合わせすることとなった。

 二限終了後、レンカと合流し彼女の家に向かった。家に着くとレンカが昼飯を作ってくれ、一緒に食った。旨かった。女子の手作りのメシを食うのも初めての経験だったこともあって余計に旨く感じたのだと思う。

 食事後は、まぁ、平和に過ごしまして、テレビを観たり、音楽を聴いたり、昼寝をしたりとドラマに出て来そうな大学生みたいな昼時を過ごしていたワケだ。

 それから時間も過ぎ、三時頃になると昼寝から覚めて、またふたりでテレビを観始めたのだけど、そしたら突然、

 玄関のドアが開く音がしたのだ。

 あれ、と思った。レンカはトイレに行ってるし、水も流れていない。いや、もしかしたらおれの勘違いか。おれは振り返った。するとーー

 見知らぬ男が上がり込んで来るでないの。

 そして、男と目が合ってしまい互いに硬直よ。もうね、視線だけで、「誰だコイツ」って考えてるってわかる感じだったよな。

 そんな硬直状態の中、レンカがトイレから出て来たのだけど、レンカは玄関の男を見ると、

 突然、慌て出したのだ。

 何事、って感じだった。利根川先生だったら、世間はお前たちに説明などしないというだろうけど、マジで説明が必要だった。

 まぁ、おれは取り敢えず状況を見るために黙っていたのだけど、レンカは、

「友達が来てるの!」

 だとか、

「今日はどうしたのかな?」

 とか玄関の男に説明していた。取り敢えず、おれにも説明プリーズって感じだったんだけど、そんな中、玄関の男はちょっと用があるからといってレンカの部屋から出て行ったのだ。

 男が出ていくと、レンカは大きくため息をついた。おれは訊ねた。

「あれ、誰?」

 すると、レンカはーー

「彼氏。寄り戻したんだ」

 あぁ、なるほど、彼氏か。

 ……は?

 ワケがわからなかった。レンカが彼氏と別れたとメールを送って来たのは二日前のことだが、その間にレンカは彼氏と寄りを戻したとのことだった。更にレンカがいったのは、彼氏とはくっついて離れてを何度となく繰り返しているとのことだった。

 いやいや、ならおれを部屋に上げるなよ。

 そして、おれは気づいてしまった。あの彼氏からしたら、おれはどう考えても、

 間男としか映らない。

 もはや頭パニック障害だった。いや、おれは後にパニック障害になるけど、こん時は頭がパニック障害ーーいや、パニック状態だった。てか、マジでハメられたと思ったよな。

 結局、おれはレンカにいわれてそのまま帰宅した。が、数日後、レンカからこんなメールが届いたのだーー

「もう連絡してこないで!」

 うん、意味わかんない。

 突然のそんなメッセージにおれも説明を求めたのだけど、利根川先生のいう通り、世間は説明なんかしてくれなかったよね。残念だ。

 その後、講義でレンカに会っても無視され、結局それ以降はまったく関わりがなくなったのでした。あれは一体何だったんだ。

 その後も、この件に似たことが女性関係の中で何度か起きたこともあって、おれは言い寄ってくる女性に対して不信感を抱くようになってしまったのでした。取り敢えずいえるのはーー

 ドラマみたいな恋なんかクソ喰らえだ!

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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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