【帝王霊~睦拾~】

文字数 1,050文字

 少年の名前は関口晃といった。

 川澄第三中学校の一年三組、その学級委員だった。容姿端麗で頭脳明晰、スポーツ万能な少年で女子からの人気も絶大だった。逆に男子からは嫉妬の嵐であまりいい印象は持たれていなかったのはいうまでもなかった。そして、彼が執着し続けていることがある。

 それは自分が支配者であり続けることだった。

 関口という少年は支配欲求が強く、学級委員も半ば周りからの推薦でありながらも、本心としては自らなるべくしてなったのだった。

 そんな関口は自ら「友人と呼べる人は精々ひとりだけ」だと公言していた。そして、その唯一の友人というのが、林崎シンゴであった。とはいえ、シンゴは関口のことを警戒しているようではあったが。

 シンゴと関口は元々対立していた。というのも、クラス内でのインディアンポーカー、通称『ネイティブ』を巡っての勝負でのことだった。関口はゲームマスターとして、この『ネイティブ』によってクラスを牛耳ることとなっていた。が、それもシンゴによって解決となり、関口はシンゴのことを恨むどころか、逆に興味を持ってシンゴに積極的に絡みに行こうとするようになったのだった。

 以降、関口はシンゴをサポートしつつも、その不気味な立ち回り方から、友人なのか敵なのかわからないような存在となっていた。

 そしてこの夜、関口は塾をサボって一番ストリートのカフェにてひとり時間を潰していた。別に塾をサボったところで関口には大した影響はなかった。塾に行こうが行くまいが、関口の成績が大きく揺らぐこともなかったからだった。

 関口はアクビをしながらスマホでソリティアをやっていた。ただの暇潰しでありながらも、そのクリアスピードは並みのモノではなかった。関口の頭の回転の速さを象徴するようなプレイングだが、関口は実につまらなそうにしていた。

 そこにメッセージアプリの新着通知があった。関口はすぐにはメッセージを開かなかった。が、二、三回ゲームをクリアして飽きてしまったか、ソリティアを閉じてメッセージアプリを開いた。

 そこには母親からのメッセージが入っていた。面倒くさそうに関口はメッセージを開いた。そして、開眼した。こう書いてあった。

「晃くんのクラスの女の子が行方不明になっちゃったんだって。危ないから今日は塾まで迎えに行くね」

 関口はふっと笑って返信メッセージを打った。

「友達と帰るから大丈夫です。それと、ちょっと先生に訊きたいことがたくさんあるので、今日は遅くなりそうです」

 送信ーー関口は立ち上がった。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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