【パズルのピースはそこにある】

文字数 2,274文字

 人間は物事を複雑に考えがちだ。

 これは殆どの人にその傾向があると思う。能天気でまともに頭を使っていないヤツは別としても、頭の良し悪しに関わらず、人は物事を複雑に捉えがちだ。

 これは前日アップした『ミス・ラストスタンド』でも武井愛のセリフとして出てくるのだけど、案外、物事は単純で、複雑に考えるからこそ複雑になってしまうのだ。

 灯台の足下は暗い。額に掛けた眼鏡は見えない。どんなに難しい話でも、思いの外その答えはすぐそこに落ちていたりするものだ。

 そう、答えというピースはすぐそこにある。

 というワケで昨日のあらすじであるーー「川澄第三中学に入学した林崎シンゴは、担任である長谷川八重によって生活安全委員に推薦される。だが、生活安全委員には裏の顔があった。生活安全委員の本当の仕事ーーそれは、学内のトラブルをいち早く察知し、処理するという過酷なものだったのだ」

 とまぁ、何だこの話はと思われるかもしれんがね、これは近日公開予定の新作のあらすじでね。公開は、『ミス・ラス』がある程度落ち着いてからにしようかな。まぁ、その内だな。

 ということで、本チャンのあらすじは、憂鬱な気分の五条氏は通し稽古にて、ちょっとしたこころの平穏を手にしたのだ、って感じだな。ざっくりなのは認める。じゃ、続きなーー

「全然ダメ。全然できてない」

 通しの翌週のヨシエさんのダメ出しがコレだ。個人的にはまぁまぁできたつもりだったが、実は全然できていなかったらしい。

 これには五条氏も落胆ですよ。

 まぁ、通しの魔力というか、ひとつの芝居を全部通した時のエネルギーというか、熱量は相当なもんで、いざやってみると「できてるッ!」みたいな勘違いをしがちなのだ。

 これにはおれも頭を悩ました。本当にどうすればいいのだろうか。そう思っているとーー

「いつもあおいにしてるようにすればいいんだよ」

 あー、なるほどね。確かに彼女に対する感情、接し方ってのは、現実でも芝居でも違いはないよね。シチュエーションが違うとはいえ、そこには相手に対する思い遣りがあって……。

 ……ん?

 何で知ってんの?

 おれは思わず、「ハァ?」みたいな顔をしてました。そしたら、ヨシエさんがーー

「あのね、バレバレだよ? あおいと付き合ってるでしょ」

 そのことばとともに劇団員全員が一斉に振り返る。まるでマンガみたいに。それから祭りですよ。通しのダメ出しのはずなのに、何故か他のメンバーからの事実確認の時間となってしまいまして。結局はカミングアウトですわ。

 何かもう違うことに気をとられてダメ出しどころじゃないんだけど、まぁ、仕方ないよな。

 とはいえ、彼氏から彼女への接し方という点はわかった。だが、問題は尚子さんとの距離感だった。やはり年齢のこともあって、おれもどこか尚子さんへの接し方に遠慮があったのだ。

 考えてみぃよ。二〇歳上の異性にどう接すればいいかなんて、青年にはわからんだろ。

 それは別として、おれが今やるべきは尚子さんとの壁をなくすことにあった。

 ダメ出しが終了すると、ショージさんに手招きされ、そちらへいくとーー

「ウソ下手だなぁ~」余計なお世話だ。「でも、そういうことだ。今のジョーと尚子さんは恋人同士の距離感じゃないんだ。もっと近づいてみ。ことばを崩して話してみ。会う度に頭を撫でるくらいの距離感でないと、恋人を演じるのは難しいよ。役柄の距離感て現実の距離感に依存するんだからさ」

 なるほど、と思った。確かに、芝居をやる上で、あおいと演じる場面は非常にやり易い。それは現実の距離感が非常に近いからだ。だが、尚子さんはそうではない。

 目下、おれがやるべきは尚子さんと打ち解けることだった。そこでーー

 とりあえず、稽古場では可能な限り尚子さんと一緒にいることにした。

 はじめこそギコチなかったやり取りも、会話を積み重ねていくごとに徐々に砕けていく。

 プラス、会う度に頭を撫でてみることにした。やはり、最初は抵抗があったものの、何度かしている内に、尚子さんの頭の大きさがおれの手のひらにいい感じにフィットするものでクセになってしまい、気づいたら頭を撫でているみたいなことも普通になっていた。

「わたしの頭をボールにするなぁ~!」

 ともいわれたけど、本当に手の収まりがよくて、ボール感覚で尚子さんの頭を撫でていた。ついでにいうと、呼び方も「尚子さん」から、「尚ちゃん」になっていた。

 短期間でこの距離の縮め方は、普通だったらウザイのもいいところだけど、芝居というエクスキューズがあるので変な空気にはならない。

 最初こそ、「五条くんとわたしだと親子にしか見えないから心配」といっていたが、そんなことをしているうちに尚ちゃんも「もぉ~、ウザイぃ~。何とかしてぇ~」みたいにいうようになっていた。

 でも、五条氏は止めなかった。芝居のため?ーー否、シンプルに面白かったからだ。

 とはいえ、そんなことをしている内、実際の演技のほうも、不思議と気持ちが入るようになり、本番一ヶ月前くらいになってやっと、

「いい感じにできてきたね」

 とヨシエさんに褒められるようになった。少しずつではあるが、先が見えてきた。本番まで一ヶ月。おれは少しずつ気力を取り戻していたーー

 と、こんな感じ。次回はどんな感じになるかはわからん。まぁ、適当に待ってておくれ。

 アスタラビスタ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み