【芸は身を滅ぼすのか?】

文字数 2,299文字

 変な特技を持っている人がいる。

「変な」というと語弊があるのだけど、それも要は、ちょっと変わった特技というワケだ。

 まぁ、具体的に何といわれると困ってしまうのだけど、例を挙げるとしたら、舌ベロで三枚のヒダを作れるとかそんな感じだーーちなみに、これは健太郎くんの特技。

 そして、そういった特技というのは、大体が「小技」的なモノだったりする。

 小技というと大したモノでないように思えるだろうけど、小技を極めた人間はとんでもない領域に行けるもんだとおれは思っている。

 確かに舌で三枚のヒダを作れるというのは、下らない特技かもしれない。だが、それを披露するというだけでもちょっとした芸になるし、案外そういった変な特技というのも無駄にはならないと思うのだ。

 かくいうおれはというと、自分ではこれが得意というモノはないのだけど、友人たちがいうには、「変なところで記憶力がいい」、「人の特徴を捉える能力に長けている」とのこと。

 ちなみに、このどちらにも「悪意があるけれど」という注釈がつくのだけど。

 まぁ、この駄文集を読んでいる人なら、おれの悪意ある表現や文章というのを見慣れてはいると思うのだけど。とはいえ、やはり人は悪意ある表現というのが好きな傾向にあると思う。

 さて、今日はそんな悪意ある「変な」特技の話。というか、この話、前にも書いた気がするんだけど、仮にそうだったらリメイクだと思って読んで欲しい。

 ちなみに、その時設定した仮名も、フェイクの内容も覚えてないんで、改めて書くとしたら、ちょっとした齟齬が出ると思うのだけど、それに関しては申し訳ない、目を瞑ってくれ。

 まぁ、大方の話は合うだろうから、それはそれということでーー

 あれは中学三年の時のことだった。

 その当時は受験勉強なんかもあって、随分とストレスが溜まっていたのだけど、それを発散する為にも、結構なイタズラをしていたのだ。

 まぁ、それもこれまでに書いた話の内容からわかると思うのだけど、その当時のおれは、

 とんでもない悪ガキだったワケだ。

 とはいえ、生活安全委員で、生徒たちの風紀を正す立場にいたこともあって、教員たちからは悪ガキだとは思われていなかったーー多分。

 ちなみにやることといえば、小野寺先生が持ってきた学校の備品のCDプレイヤーを三つも隠したりといったようなしょうもないことばかりだった。イタズラに大も小もないか。

 そして、そんな中でも、おれがよくやり、かつ得意としていたのがーー

 悪意ある似顔絵を描くことだった。

 これに関しては過去にも散々書いて来たんで、今さらいうこともないよな。しかし、人の特徴を悪意を持って捉えるというのはシンプルに性格の悪さを物語っているのだけど、自分でも悪いことだとはわかっていても止められないのだ。単純に性格が悪いんだろうな。

 まぁ、そんな感じの性格の悪い特技を持っている五条氏ではあるけど、授業を受ける姿勢に関しては比較的マジメなほうで、そのお陰かおれの性格の悪さというのは、教員たちからは余り知られていなかったのだ。

 とはいえ、危ない橋を渡ることもある。

 とある日の家庭科の授業の時のことだった。その日は調理実習か何かのレポートを製作するため、パソコン室にて授業が行われていた。

 とはいえ、おれも比較的マジメさを装うのに長けている男だ、レポートにはマジメに取り組み、さっさと終わらせてしまったのだ。

 レポートが終了した後は自由時間、問題のない範囲で各自パソコンを使うことが許されていたのだけど、そこでおれはーー

「ペイント」を開いたのだ。

 何でペイントなのかというと、この時期、おれはネット上にて絵を描くことにハマっており、その練習も兼ねて、マウスを使った絵描きの練習をしようと思ったのだ。

 とはいえ、授業の余り時間ということもあって、大した時間も残っていない。となると、そこまで難しいモノは描けない。そこでーー

 おれはマウスを使って簡単な絵を描き始めたのだ。しかし、慣れたモンだ。おれはまるでペンを使うようにマウスを動かして絵を描いていた。すると、突然ーー

 家庭科担当の先生が爆笑し始めたのだ。

 何事だと思った。家庭科担当の先生は、大川先生という四〇代の女性の先生で、厳しいワケではないが、どこかマジメな感じの人だった。

 おれは、何だろうと自分の席から大川先生の様子を伺った。すると、大川先生がーー

「誰よ、これ描いたの!?」

 と笑いながらパソコンの画面を指差していたのだ。おれは何だろうと思いつつ、大川先生のいる教室前方へと向かい、大川先生が向かっているホストコンピュータの画面を覗き込んだのだ。おれは思わず苦笑した。というのも、大川先生が指差していたのはーー

 おれが描いた絵だったのだ。

 これにはおれも笑うしかなかった。そもそも、おれは何を描いていたのか。それはーー

 担任のブタさんの似顔絵だったのだ。

 それだけならまだマシなのだけど、問題なのはーー

 ブタさんを本物のブタと合の子にしたことだった。

 まぁ、文章にするだけでも卑しい愚民が描くような低俗な絵だとわかるのだろうけど、そこでおれの性格の悪さが首をもたげてしまい、

「あぁ、おれの絵ですね。これ、何に見えますか?」

 と訊ねたのだ。すると大川先生はーー

「ブタさん先生でしょ!」

 そういって大川先生は笑い続けたのでした。ちなみに、ブタさん本人には、この似顔絵のことは伝わらなかったようで。報告されなかったのは本当に幸いだったわ。

 とはいえ、変な特技は使い方を間違えたら、急転直下地獄落ち。くれぐれも使い方にはお気をつけを。

 アスタラビスタ。





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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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