【親族は静かに嗤う】
文字数 2,445文字
気づけば九九本目の記事になっている。
まぁ、三ヶ月毎日更新していればそんなのすぐなんだけど、飽き性の自分にしてはよくやっているモノだなとは思う。クオリティの問題は別として、な。
一本目の記事である『はじめに』を除けば、この記事も九八本目になるんで、次回が明確に百本目といえるかは微妙なんだけどな。
まぁ、とはいえ、よく続いているもんだ。てな感じで、次回とその次、百本目と百一本目ーー九九本目と百本目?ーーはまたショートシナリオを書こうかと思う。
何で二回に分けるのかといえば、シンプルに回数のカウント判定が微妙だからだ。まぁ、この駄文集を書いているのはおれなのだから、そんなのおれの裁量ひとつなのだけど。
そんなワケで次回から二回に渡ってショートシナリオを投稿するわ。内容は決めてない。ひとつの話を二回に渡って書くか、一日一本という形で投下していくかはわからない。
てか、どうせまた長くなるんだから、二回で一本にできるように保険を掛けてるだけなんだけどな。
さて、そんな感じで次回、その次と枕はなしにド頭からシナリオを投下していくわ。
さて、それはそうと、こっちも中々長くなりそうなんで、そろそろ始めていくか。そう、『妄想間違い電話篇』だ。
これもまた長くなってるんで、さっさと片付けないとだな。あと三回で終わらせるとかほざいてたダボはどこの誰だったんでしょうな。
あらすじーー
『東京に着いたフサエは、下町のストリートを歩いていた。しかし、慣れない東京の街はフサエには大きすぎた。ナオとの関係性を省みて涙を流すフサエ。が、そこに現れたのは、紫のドレスを着たナオだった。フサエは路地裏へ消えたナオを追うが、その姿は忽然と消えてしまった。一体、ナオはどこへいってしまったのか。フサエはただその場に立ち尽くすのだった』
とまぁ、こんな感じ。じゃあ、何も考えてないけど、始めていきますか。じゃーー
夜。失意の中、フサエは適当なビジネスホテルを探し歩いた。今ならば近場のホテル検索などスマホを使えば一発だが、この時はネットワークサービスもそこまで普及しておらず、かつ、所謂「ガラパゴスケータイ」を持ち始めたばかりのフサエには、携帯電話にて情報を収集するなどということは考えもしなかった。
当然、地図機能などというツールの存在も知らないので、それを活用するということもない。フサエは根気強く歩いた。アスファルトの上を、舗装された道を。
明かりに満ちたストリートは、フサエをどこかへ導くというよりは、逆に撹乱させているようだった。コンビニエンスストアにカラオケ店、飲食店に如何わしい店。得体の知れない若者たちが屯し、無為に時間を消費している。
足が痛い。どれくらい歩いたろう。ストリートという名の亡霊がフサエの視界を揺らがせる。
無機質な人工物の中にただひとり。フサエは近場の交番にて適当なビジネスホテルの場所を訊ね、ホテルにてひとり宿泊した。
翌日より、フサエは調査を開始した。
まずはナオが通っている大学に赴き、学生課にて自分の身を明かし、ナオの名前を照会して貰おうとした。が学生課担当の職員はフサエのことを胡散臭げに見ていった。
「先程の方に続いてですか?」
先程の方。そう聞いてフサエはキョトンとした。「先程の方?」
「えぇ。親族の方だとか」
そういわれてフサエは、その「先程の方」の特徴を訊ねた。学生課の人間がいうには、その男は小柄な中年男性で禿げ上がった頭に、申し訳なさそうな表情を浮かべていたという。
フサエはどぎまぎした。そんなフサエを見て学生課の職員は何があったのか訊ねた。が、フサエは「何でもない」といって、娘の住所を聞き出し、大学を後にした。
フサエは大学前にてバスに乗り、駅まで戻ることにした。バスの中、フサエは落ち着かない様子で外の景色を眺めていた。
禿げ上がった小柄な中年男、そんな人は親族にはいなかった。自分も夫の親族にも確かにそんな人物は存在しなかった。
どこにでもいそうな容姿ではあるが、フサエと夫の家系はみな背が高めで、禿げ上がるよりも髪は残って白髪と化した者ばかりだった。
では、その男とは一体誰だったのだろう。
疑問がよぎる。ただ、ひとつわかるのは、ナオが何者かに追われているということだ。
しかし、誰に?
イヤな予感。悪寒がする。ナオの無事を祈りつつ、学生課にて教えて貰ったメールアドレスにメッセージを送る。
慣れない手つきでナオの長い、長いメールアドレスを打ち込み、メッセージを送る。
「ナオ、お母さんです。今、どこにいるの?お母さんは今東京にいます」
メッセージを打ち終えると折り畳んだ携帯を握りしめたまま、待った、待ったーー待ち続けた。が、返信はなかった。
駅に着いてすぐさまタクシーを拾い、ナオの家の住所を告げる。運転手は気だるげにフサエの申し出を了承し、車を走らせた。
車中でも携帯を握り締め、ナオからの連絡を待つが、返信も電話もない。
目的のアパートに着き、料金を払うと、すぐさまナオの部屋がある二階へと向かーー
階上から音が聴こえた。
足音。鉄を叩くゴム底の音。フサエは階上を見上げた。そこにはーー
小柄で禿げ上がった中年男性がいた。
一段一段階段を降りてくる。フサエはハッとした。恐怖が押し寄せてくる。が、そんなこともいっていられない。
「あのッ!」
男がフサエの前を横切って敷地から出ていこうとするところを、フサエは引き止めた。男は足を止めて振り返り、
「はい?」
が、フサエは何もいえなかった。もし、人違いだったら相手に申し訳ないし、もし、それが本人だったとしても、その後どうなるかを考えたら、恐怖で何もいえなくなってしまい、
「あ、いえ、何でもないです……」
といってしまった。男はそのまま敷地から出ていった。怪しい。その思いを胸に、フサエは男を追うため、静かに歩き出したーー
はい、終わり。次回から二日間は別の書きますわ。んじゃ、
アスタラビスタ。
まぁ、三ヶ月毎日更新していればそんなのすぐなんだけど、飽き性の自分にしてはよくやっているモノだなとは思う。クオリティの問題は別として、な。
一本目の記事である『はじめに』を除けば、この記事も九八本目になるんで、次回が明確に百本目といえるかは微妙なんだけどな。
まぁ、とはいえ、よく続いているもんだ。てな感じで、次回とその次、百本目と百一本目ーー九九本目と百本目?ーーはまたショートシナリオを書こうかと思う。
何で二回に分けるのかといえば、シンプルに回数のカウント判定が微妙だからだ。まぁ、この駄文集を書いているのはおれなのだから、そんなのおれの裁量ひとつなのだけど。
そんなワケで次回から二回に渡ってショートシナリオを投稿するわ。内容は決めてない。ひとつの話を二回に渡って書くか、一日一本という形で投下していくかはわからない。
てか、どうせまた長くなるんだから、二回で一本にできるように保険を掛けてるだけなんだけどな。
さて、そんな感じで次回、その次と枕はなしにド頭からシナリオを投下していくわ。
さて、それはそうと、こっちも中々長くなりそうなんで、そろそろ始めていくか。そう、『妄想間違い電話篇』だ。
これもまた長くなってるんで、さっさと片付けないとだな。あと三回で終わらせるとかほざいてたダボはどこの誰だったんでしょうな。
あらすじーー
『東京に着いたフサエは、下町のストリートを歩いていた。しかし、慣れない東京の街はフサエには大きすぎた。ナオとの関係性を省みて涙を流すフサエ。が、そこに現れたのは、紫のドレスを着たナオだった。フサエは路地裏へ消えたナオを追うが、その姿は忽然と消えてしまった。一体、ナオはどこへいってしまったのか。フサエはただその場に立ち尽くすのだった』
とまぁ、こんな感じ。じゃあ、何も考えてないけど、始めていきますか。じゃーー
夜。失意の中、フサエは適当なビジネスホテルを探し歩いた。今ならば近場のホテル検索などスマホを使えば一発だが、この時はネットワークサービスもそこまで普及しておらず、かつ、所謂「ガラパゴスケータイ」を持ち始めたばかりのフサエには、携帯電話にて情報を収集するなどということは考えもしなかった。
当然、地図機能などというツールの存在も知らないので、それを活用するということもない。フサエは根気強く歩いた。アスファルトの上を、舗装された道を。
明かりに満ちたストリートは、フサエをどこかへ導くというよりは、逆に撹乱させているようだった。コンビニエンスストアにカラオケ店、飲食店に如何わしい店。得体の知れない若者たちが屯し、無為に時間を消費している。
足が痛い。どれくらい歩いたろう。ストリートという名の亡霊がフサエの視界を揺らがせる。
無機質な人工物の中にただひとり。フサエは近場の交番にて適当なビジネスホテルの場所を訊ね、ホテルにてひとり宿泊した。
翌日より、フサエは調査を開始した。
まずはナオが通っている大学に赴き、学生課にて自分の身を明かし、ナオの名前を照会して貰おうとした。が学生課担当の職員はフサエのことを胡散臭げに見ていった。
「先程の方に続いてですか?」
先程の方。そう聞いてフサエはキョトンとした。「先程の方?」
「えぇ。親族の方だとか」
そういわれてフサエは、その「先程の方」の特徴を訊ねた。学生課の人間がいうには、その男は小柄な中年男性で禿げ上がった頭に、申し訳なさそうな表情を浮かべていたという。
フサエはどぎまぎした。そんなフサエを見て学生課の職員は何があったのか訊ねた。が、フサエは「何でもない」といって、娘の住所を聞き出し、大学を後にした。
フサエは大学前にてバスに乗り、駅まで戻ることにした。バスの中、フサエは落ち着かない様子で外の景色を眺めていた。
禿げ上がった小柄な中年男、そんな人は親族にはいなかった。自分も夫の親族にも確かにそんな人物は存在しなかった。
どこにでもいそうな容姿ではあるが、フサエと夫の家系はみな背が高めで、禿げ上がるよりも髪は残って白髪と化した者ばかりだった。
では、その男とは一体誰だったのだろう。
疑問がよぎる。ただ、ひとつわかるのは、ナオが何者かに追われているということだ。
しかし、誰に?
イヤな予感。悪寒がする。ナオの無事を祈りつつ、学生課にて教えて貰ったメールアドレスにメッセージを送る。
慣れない手つきでナオの長い、長いメールアドレスを打ち込み、メッセージを送る。
「ナオ、お母さんです。今、どこにいるの?お母さんは今東京にいます」
メッセージを打ち終えると折り畳んだ携帯を握りしめたまま、待った、待ったーー待ち続けた。が、返信はなかった。
駅に着いてすぐさまタクシーを拾い、ナオの家の住所を告げる。運転手は気だるげにフサエの申し出を了承し、車を走らせた。
車中でも携帯を握り締め、ナオからの連絡を待つが、返信も電話もない。
目的のアパートに着き、料金を払うと、すぐさまナオの部屋がある二階へと向かーー
階上から音が聴こえた。
足音。鉄を叩くゴム底の音。フサエは階上を見上げた。そこにはーー
小柄で禿げ上がった中年男性がいた。
一段一段階段を降りてくる。フサエはハッとした。恐怖が押し寄せてくる。が、そんなこともいっていられない。
「あのッ!」
男がフサエの前を横切って敷地から出ていこうとするところを、フサエは引き止めた。男は足を止めて振り返り、
「はい?」
が、フサエは何もいえなかった。もし、人違いだったら相手に申し訳ないし、もし、それが本人だったとしても、その後どうなるかを考えたら、恐怖で何もいえなくなってしまい、
「あ、いえ、何でもないです……」
といってしまった。男はそのまま敷地から出ていった。怪しい。その思いを胸に、フサエは男を追うため、静かに歩き出したーー
はい、終わり。次回から二日間は別の書きますわ。んじゃ、
アスタラビスタ。