【冷たい墓石で鬼は泣く~捌拾漆~】
文字数 536文字
頭が鉄のようになっていた。
明らかに柔軟にモノを考えられなくなっていた。このままでは間違いなく潰れてしまうだろう。その前に何とかすべてを終わらせてしまいたい。そうすれば寝ることも出来る。
しかし、ここからどうするべきか。男に聴いた限りでは隠れ家にいる野武士は六人程度。確かに小屋の大きさから見てもそれくらいが妥当ーーそもそも、そこで生活するにしても六人では窮屈なくらいで、死んだ何人かとこの男を含めて考えたらかなり狭いことはいうまでもないだろう。
表から攻めたとして、今のわたしに出来るのは、精々三人切り捨てるのが限界だろう。それ以上は難しい話になってくる。確かにそれで相手が全員動乱すれば出し抜けに敵を全滅させることも出来るかもしれない。
いちばん簡単なのは、小屋を燃やして全員焼いてしまうことだが、そもそも火を打つにも近づかなければならないし、火を灯して射る弓と矢も存在しない。まず、ここから小屋までの距離が遠すぎる。だとしたら、もはや死を覚悟して突撃するしか方法はーー
うるさかった。となりの男がもがく声が、音がうるさかった。わたしは寝ていないせいか、イラ立ちが止まらなかった。吐きそうだった。頭が痛かった。そして、思ったーー
賭けてみるか......。
【続く】
明らかに柔軟にモノを考えられなくなっていた。このままでは間違いなく潰れてしまうだろう。その前に何とかすべてを終わらせてしまいたい。そうすれば寝ることも出来る。
しかし、ここからどうするべきか。男に聴いた限りでは隠れ家にいる野武士は六人程度。確かに小屋の大きさから見てもそれくらいが妥当ーーそもそも、そこで生活するにしても六人では窮屈なくらいで、死んだ何人かとこの男を含めて考えたらかなり狭いことはいうまでもないだろう。
表から攻めたとして、今のわたしに出来るのは、精々三人切り捨てるのが限界だろう。それ以上は難しい話になってくる。確かにそれで相手が全員動乱すれば出し抜けに敵を全滅させることも出来るかもしれない。
いちばん簡単なのは、小屋を燃やして全員焼いてしまうことだが、そもそも火を打つにも近づかなければならないし、火を灯して射る弓と矢も存在しない。まず、ここから小屋までの距離が遠すぎる。だとしたら、もはや死を覚悟して突撃するしか方法はーー
うるさかった。となりの男がもがく声が、音がうるさかった。わたしは寝ていないせいか、イラ立ちが止まらなかった。吐きそうだった。頭が痛かった。そして、思ったーー
賭けてみるか......。
【続く】