【帝王霊~百拾玖~】

文字数 568文字

 キレイな星空が皮肉に映った。

 爽やかな風が嫌みったらしく祐太朗の火照った身体を撫でた。ストリートの声はいつもとは打って変わって穏やかだった。目的の男は屋上の際にある手摺に背を預けて祐太朗のことを待っていた。祐太朗は荒々しく呼吸していたが、手は膝につかなかった。

「ようこそ、ヤーヌスへ。といっても、もう会社自体はなくなってしまいましたが」

 男はいった。まるで自分のテリトリーへと祐太朗を迎え入れるようにオープンなスタンスだった。だが、祐太朗はそれに迎合するつもりはまったくない様子だった。険しい表情を浮かべたまま男のほうを向いていた。何も喋ろうとしない祐太朗とは対照的に男は更にことばを紡いだ。

「改めて自己紹介をしましょう。わたしは『成松蓮斗』、ヤーヌス・コーポレーションの代表取締役を務めさせて頂いています。いや、この場合は務めさせて頂いていました、か」

 祐太朗はまったく反応しなかった。それどころか、ズンズンと男ーー成松のほうへと向かって行った。成松の顔に笑みが浮かんだ。

「この身体以外で、前にお会いしましたね。何というか、ここまで縁があると、まるで友達にでもなったような気がしますね」

 友達、そのことばを否定するかのように、祐太朗は無言のまま成松のほうへと更に向かって行った。成松はニヤリとした。

 突然、天地が逆転した。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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