【一年三組の皇帝~捌拾壱~】
文字数 705文字
全身を巡る血が一気に沸騰しそうなくらい、身体中が粟立った気がした。
正直、こんな緊張感はもう味わいたくないと思うのだけど、その気持ちを逆撫でするように自分が興奮しているのがわかった。この興奮は緊張と背中合わせになって、得体の知れない吐き気が込み上げて来た。多分、そこら辺の人ならこの吐き気を本当に不快に思うことだろう。だけど、今のぼくにはこの吐き気ですら快感に思えてならなかった。
死ぬーーもちろん、これはぼくの例えでしかないけれど、負ければ終わり、死、その先に待っているのは何処までも続く闇。向こう二年半以上続くであろう地獄の景色がうっすらと見えるというのに、ぼくはそのギリギリの綱渡りを楽しんでいる気がした。
勝負が呼び掛けられ、カードをオープンした。緊張の一瞬。ぼくは掲げたカードを机の上に表向きにして置いた。
静寂が滴り落ちる雫のように波を起こして広がった。多分、その長さは一秒にも満たなかったに違いなかったが、ぼくにはその長さが十分にも一時間にも感じられた。
クローバーの13。
紛れもないぼくの勝ちだった。ぼくの頭には血が昇りっぱなしだった。そして、それがサーッと引いていくような感覚に変わることはなく、むしろ今すぐにでも頭が爆発していまいそうな、そんな快感、快楽が襲って来た。更にそれを後押しするかのように歓声が天へと伸びて行く。
勝ったーー勝ったのだ。
歓声に続いて、自分の周りの悔しがるヤツラの姿が更に自分の勝利を磐石にし、強く印象づけさせた。
「ほんと、すごい運だね」
ニヤニヤと関口がいった。ヤツの笑みを見て、ぼくの中の現実が肩を叩いて来る。
これは、仕組まれたか......?
【続く】
正直、こんな緊張感はもう味わいたくないと思うのだけど、その気持ちを逆撫でするように自分が興奮しているのがわかった。この興奮は緊張と背中合わせになって、得体の知れない吐き気が込み上げて来た。多分、そこら辺の人ならこの吐き気を本当に不快に思うことだろう。だけど、今のぼくにはこの吐き気ですら快感に思えてならなかった。
死ぬーーもちろん、これはぼくの例えでしかないけれど、負ければ終わり、死、その先に待っているのは何処までも続く闇。向こう二年半以上続くであろう地獄の景色がうっすらと見えるというのに、ぼくはそのギリギリの綱渡りを楽しんでいる気がした。
勝負が呼び掛けられ、カードをオープンした。緊張の一瞬。ぼくは掲げたカードを机の上に表向きにして置いた。
静寂が滴り落ちる雫のように波を起こして広がった。多分、その長さは一秒にも満たなかったに違いなかったが、ぼくにはその長さが十分にも一時間にも感じられた。
クローバーの13。
紛れもないぼくの勝ちだった。ぼくの頭には血が昇りっぱなしだった。そして、それがサーッと引いていくような感覚に変わることはなく、むしろ今すぐにでも頭が爆発していまいそうな、そんな快感、快楽が襲って来た。更にそれを後押しするかのように歓声が天へと伸びて行く。
勝ったーー勝ったのだ。
歓声に続いて、自分の周りの悔しがるヤツラの姿が更に自分の勝利を磐石にし、強く印象づけさせた。
「ほんと、すごい運だね」
ニヤニヤと関口がいった。ヤツの笑みを見て、ぼくの中の現実が肩を叩いて来る。
これは、仕組まれたか......?
【続く】