【冷たい墓石で鬼は泣く~玖拾伍~】

文字数 569文字

 わたしの中で法螺貝の音色が響いていた。

 始まったーー賊たちが次々と刀を抜く様を見て、とうとう始まるのだとわたしは気を引き締めた。圧倒的に不利なのはわかっていた。だからこそ、わたしは捨て身でいかなければならないだろうと思っていた。

「待て」賊の頭と見られる男がいった。「そこのサムライ。テメェ、何のつもりだ」

 わたしは呆気に取られた。

「何のつもりか、と? 主らの手下に襲われたからここまで来たまで、だが」

「何だと?」頭は何かを考えているようだった。「それは本当にいってるのか?」

「それ以外にあるか。今、わたしが掴んでいるこの男もそのひとりだった。そして、この男の仲間だった数人は既に切って捨てた」

 このことばは敵の手下たちを刺激したようだった。怒りのことばを吐き捨てつつ、わたしに向かって来ようとする。だが、それも頭の制止によって再び止まる。そしてーー

「おサムライ、それはどういうことだ?」

 これにはわたしも困ってしまった。わたしの話と相手の頭の話がどうにも噛み合わない。わたしとしてはあの頭が何かしらの理由でわたしを狙っていたのだと思っていたが、向こうはまったくそんなことは知らないらしい。もちろん、とぼけているとも考えられなくもなかったが、とぼけているようにはどうにも見えなかった。

「ワケを話して貰おうか」

 わたしはいったーー

 【続く】
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み