【ヘイトフル・トレイン】

文字数 2,707文字

 電車が嫌いだ。

 兎に角、電車が嫌いだ。

 突然何をいい出すのかと思われるだろうけど、おれは電車が嫌いで仕方ないのだ。

 まぁ、そもそも何でそんなに電車が嫌いなのかといわれると、その根底にあるのは、パニックを発症したのが電車内であったことだとか、十年前の地震の際、電車内にて被災したことが大きいのかもしれない。

 個人的に、電車は移動手段のひとつでありながら、ネガティブな見方をしてしまえば、逃げ場のない袋小路のように思えてならないのだ。

 数日前も書いたけれど、電車内で腹痛に見舞われたりすれば逃げ場もないし、何でこんなモンに乗らなきゃならんのだと思ってしまうのだ。車は渋滞にでも巻き込まれない限りはそれなりに融通も利くし、やっぱ電車は好きになれない。

 更にいえば、電車にはトラブルがつきものだ。そりゃ、見ず知らずの人たちと相乗りなのだからトラブルなんて日常茶飯事なのはいうまでもない。女性は痴漢の被害に遭いかねないし、男性は痴漢の冤罪を掛けられかねない。

 あと個人的に、満員電車というのが本当に無理なのだ。そうでなくともこのご時世に満員電車というのは最悪もいいところだし、時代にも見合っていないと思う。

 まぁ、ここまで殆どイチャモンレベルの文句しかいっていないのだけど、それくらいおれは電車が嫌いというワケだ。

 そして、やはり、おれも電車内でトラブルに巻き込まれたことがあるワケだ。さて、今日はそんな話ーー

 あれは大学三年の時、下宿先から五村に帰る途中のことだった。

 そんな中、乗り換えの駅ホームにて電車を待っていると、

 突然、老人が近くを通り掛かった青年にイチャモンをつけ始めたのだ。

 その理由はよくわからない。ただ、その老人ーー男性ーーは奥さんを連れていて、奥さんはガミガミ怒鳴る旦那を止めつつ、非常に肩身を狭そうにしていた。

 まぁ、これが今の五条氏だったら、「また、老害かよ」で終わりなのだけど、この当時の気の弱い五条氏は、こういう人とはなるべく関わりたくないなとイヤホンから流れるへヴィメタルの音量を下げたのだった。

 で、電車が来て乗り込み、座席に腰掛けたんだけど、そのガミガミいっていた老人が目の前に座ってしまい、何とも息苦しい状況となってしまったのだ。何故か、おれのほうを見てたしな。

 さて、そんな感じで電車に乗っていると、次の駅に着き、電車が止まった。電車のドアが開くと激しい人の出入りがあった。まぁ、都内ともなるとそれも当たり前か。

 が、問題はそこではなかった。というのも、

 気付けば、周りを変なヤツラに取り囲まれていたのだ。

 変なヤツラに囲まれるというと、ドチンピラみたいなろくでなしを想像するかと思うのだけど、おれを取り囲んだのはそういう人種とはまた異なっていた。

 まぁ、変なヤツラといっても危害を加えてこなければ何の問題もないだろって話だけど、

 何だかメチャクチャ身体を触ってくるのだ。

 しかも、堂々と。

 オマケに男十人規模で。

 もうね、ゲイの十人が一斉におれに話し掛けて来て身体をベタベタ触ってくるもんだから、本当に不快も不快。それに電車内で堂々と人の服の中に手を入れようとして来るしな。

 とはいえ、話しても無駄だとわかってしまったのだ。というのもーー

 みんな日本語喋れなかったんだわ。何とーー

 敵は東南アジア系の男十人だったのだ。

 もはや、何が何だかわからなかったよな。「止めろ」っていっても話が通じてる感じがまったくないし、それどころかお触りがどんどんエスカレートしていくじゃない。

 そこでおれは気づいたのだ。

 あのじいさんにキレて貰ったらどうか?

 そう。あの駅で青年を怒鳴り付けていたじいさんが今、目の前に座っている。こういう白昼堂々としたマナー違反というか、痴漢行為こそ恫喝すべきだろう。そこでおれは、じいさんのほうを見たのだけど、

 じいさん、目が合ったと思いきや、困った顔をして目を叛けやがったのだ。

 クソッ! 何だってこういう高圧的なジジイはこういう時に役に立たねぇんだ! まぁ、所謂「老害」という人種は基本そうだよな。

 そんなことをしている間にも東南アジアのゲイ十人による痴漢行為はエスカレートし、ズボンの中に手を入れようとして来やがったので、このままではマズイと悟ったのだ。

 何とかしなければ。もはや老害のジジイは役に立たない。ゲイに触られてもアソコは立たない。周りの乗客も何事もなかったかのようにガン無視。ならば、自分の身は自分で守らなければ。そこでおれはーー

 変態どもを恫喝することにしたのだ。

 もはや手段を選んでいる場合ではなかった。迷惑とかどうでもよかったのだ。だって、明らかな事案をシカトするほうが問題だしな。

 そんな感じで、身体を触ってくる東南ゲイの手を払っては叩き、払っては叩き、

「テメェ、何すんだコラァ!」

「パンツに手入れんな、気持ち悪いんだよ!」

「触んな!○すぞ!」

 と明らかに通じていないであろう日本語で応戦し続けたのだ。まぁ、周りに状況が伝わるようにかなり説明的な恫喝にはなったのだけど、そんなことしたって、周りは助けてくれないし、一対十人では抑止力には到底ならず、相も変わらず東南のゲイたちはおれの身体をベタベタ触りながらイキ掛けてたんだけど、それに負けじとおれも暴言と暴力で応戦したのだ。

 もはや、秩序なんてないよな。

 電車内は地獄絵図。老害も周りの乗客もシカトを決め込んでいる。そんな中、おれは東南のゲイと対決す。情報量多過ぎてワケわからん。

 結局、東南ゲイ十人組とのやり合いは、目的の駅に到着するまで続いた。目的の駅に着くと、おれは東南のゲイをはね除けて電車を降りようとした。そしたら、

 電車の出入り口で思いっ切り背中を押されたのだ。

 電車の出入り口って段差があるから普通に危ないんだけど、東南のゲイのひとりがそんなことお構い無しにおれの背中を突飛ばして来たのだ。まぁ、ちょっとフラついた程度で、大事には至らなかったんだけど、普通に危ないよな。

 結局、そのままドアも閉まり、鼻息を荒くした東南のゲイの興奮しきった顔が視界に映り込んだのみで、その場は終わりました。

 電車内はトラブルでいっぱいだ。だが、人は基本的にトラブルを避けようとし、ことなかれ主義を決め込む。

 結局、何かあったときに自分を守れるのは、自分しかいないのかもしれない。

 ちなみにおれは、東南アジアの人を総纏めでディスっているワケではないからな。ろくでなしは国籍関係なく存在するしさ。ひとついえるのはーー

 ほんと、電車って嫌いだわ。

 電車内ではご注意を。

 アスタラビスタ。

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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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