【帝王霊~百睦~】

文字数 551文字

 気のせい、だった。

 緊張すると人は神経がやたらと研ぎ澄まされる。ほんと大したことでなかったのだろう。もしかしたら、ネズミが草葉を揺らした音だったのかもしれない。

 音がしたのは背後ーー神社の表へと続く門からだった。だとするとヤエちゃんだろうか。或いは騒ぎを聞きつけた警察かもしれない。まぁ、この状態から考えるとおれもかなり不利な状況だが、それも仕方ないだろう。

 それにしても、みんなは大丈夫だろうか。おれでも結構怖いというのに、他のみんなはどんな思いをしながら今この瞬間を動いているのだろう。改めて自分が怖がりなのだなと自覚するにはいい機会だったのかもしれないが、にしてもこの状況は酷すぎる。

 しかし、この男は何故またこんな。誘拐をするにしては計画が行き当たりばったり、ずさん過ぎる。それも女の子とはいえ中学生だなんて。幼い子供と違って大きいし、誘拐するにはひとりでは厳しいモノがある。

 だとしたら、さっきの音はーー

 考え過ぎだろうか。にしても可笑しなことが多すぎる。そう。計画性なし、共犯なしだとして、そこに車の存在がなかったのはもはや違和感を通りすぎて頭が可笑しくなりそうーーいや、もう可笑しいのか?

 いや。考えすぎだ。迷いは自滅しか引き寄せない。おれは男を調べようとした。

 ハッとした。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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