【帝王霊~漆拾壱~】

文字数 1,056文字

 どんな分野であろうと門外漢にわかることなど30%未満といったところだろう。

 それ以上を知りたければ、莫大なる勉強とそれに費やすための時間が必要になることはいうまでもない。あたしは探偵のプロだ。少なくともそこら辺の人たちより探偵や調査といったことに対するノウハウは知っているつもりだ。

 だが、あたしにだって知らないことはたくさんある。というより、殆どのことを知らないといっても過言ではないのかもしれない。特にこの手の心霊系の話はまったくもって理解が追い付かず、詩織が何をいっているかなどさっぱりだった。

 新しく作られた霊道?ーーそれは一体どういうことなのだろうか。

 普通、道というのは今そこにあるモノがすべてではない。あらゆる制約を取っ払えばいくらでも作ることが出来るモノだ。例えていうなら、五村のストリートに建ち並ぶビルや建物を倒壊させて瓦礫を退かせば、極端な話そこには新しい道が出来るーーもちろん、そんなことは現実的ではないが。

 それにそこが水辺ーー池や川であっても、橋を作ったり、埋め立てたりすればそこには新しい道が出来る。つまり、道というのは作ろうと思えば大抵作れてしまうモノなのだ。

 しかし、霊道が新しく出来るということに関してはどうにもイメージがわかなかった。あたしの乏しいオカルト、心霊、スピリチュアルの知識でいえば、取り敢えずは霊の通り道のことを霊道といい、それが出来るのは鬼門と呼ばれる北東の位置だったり、裏鬼門と呼ばれる南西の位置だったりするはずだ。実際にこの辺りの土地を調べたワケではないので、方角がどうとかはわからないが、今ここがそういった方角を指しているとでもいうのだろうか?

「新しく出来たって?」あたしは詩織に訊ねた。「どういうこと?」

 訊ねると詩織は、ちょっとわかりづらいかもしれないと前置きしてから説明し始めた。

 新しく霊道が出来るーーそれはつまり、霊にとって居心地のよい場所がひとつ増えるということでもある。そしてそれは、以前までは霊のいなかったような場所であっても、突如強力な霊力、霊障が加わり空間そのモノの霊的な波動がネジ曲がってしまえば、簡単に霊道へと変化を遂げるとのことらしかった。

「つまり、このビル全体に強力な霊力や霊障が掛かって結果、霊道になってしまったってことでいいんだよね」

 あたしが訊ねると詩織は頷いた。なるほど。強力な霊力がビル全体に掛かった結果として、ビル全体が霊の巣窟になってしまったということか。しかし、どうしてーー

 突然、呻き声が聴こえた。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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