【帝王霊~玖拾死~】

文字数 1,086文字

 ゲームでも何でも、唐突に攻略法を思いつくと、それだけで嬉しいし興奮するモノだ。

 自分の考え、あるいは誰かが投げたことばをヒントにたどり着いた考えというのは、それだけで価値があるモノだと思う。

 すべてをチュートリアルとして教えて貰うのも始めのうちはいいかもしれないが、ある程度のラインを過ぎたら、自分で考えて答えを導き出すことが出来なければならない。

 ぼくはまだ子供だ。正直、認めたくはないけれど、ぼくは子供でしかない。積んできた経験なんて学校と家以外では数えるほどしかないし、それが今の自分に上手く作用してくれるとも思っていない。

 だが、考えて行動に移すことは子供にも大人にも平等に与えられた権利だと思うのだ。

 関口からのメールにはこう書いてあった。

「さっきまで一番街の喫茶店にいたんだけどさ、不自然に大きなキャリーバッグを持ってた人がいたんだよね。まぁ、中山さんの大きさなら、丸くならせてやればケースには十分入るんじゃないかな。それに、荷物も重そうだったし。にしても、そんな荷物を持っているんなら、車がないと遠くには逃げられないね。あまり人目につかないところとか、いいよね?」

 関口が見たキャリーバッグの人というのは、どのようなモノだろう。そして、最後には関口がその男を見た時間が記されていた。大体20~30分。あの辺りにはあまり目立つ月極めの駐車場はない。観光客だとしたら、あのエリアでそんな大きなキャリーバッグを持っているのは不自然だ。何故なら、そもそもが泊まれるホテルのような場所がないのだから。

 だとしたら、キャリーバッグを持った不審者はそう遠くには行っていない。

 ぼくはスマホでグループメッセージを開いた。この捜索のために集まったメンツーーただし、先生や大人はいないーーだけで、即席の連絡グループを作っていたのだ。そこで、ぼくは『自分の捜索していたエリアと子供が入りそうなほど大きなキャリーバッグを持ったヤツがいなかったか?』と訊ね、いるいないに関わらず連絡をするよう頼んだ。

 連絡はすぐに来た。辻と田宮からだった。辻は海野と山路と共に行動していたが、誰もそのようなヤツは見ていない。ちなみに場所は一番街の果てで、新川澄駅に差し掛かる辺りだった。そして田宮はひとりでの捜索。川澄武道館から川澄を出る辺りを捜索していたが、そのようなヤツはいないとのことだった。だとしたらーー

 ぼくは走り出した。いずみが何処に行くのかと怒鳴った。ぼくはいずみにすぐに帰るよういった。この勘が正しければ、いずみが一緒だと危険な目に遭わせかねない。ならーー

 ぼくは走った。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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