【武蔵近藤の憂鬱】

文字数 2,630文字

 気づけばこの駄文集を書き始めて三ヶ月が経つ。

 同時に連続更新を始めて三ヶ月が経つのだけど、改めて考えるとこんな下らない文章を三ヶ月毎日欠かさずに更新するなんて、最早おれの頭もバグってんのかって感じなんだけど、まぁ、よく続いてんじゃない?

 とはいえ、その日その日のクオリティに上下があるし、雑談と称したサボリを公然とやるようになって、これを毎日更新としていいのかってーー期待してないから毎日の更新にクオリティなんか求めてない?ならいいわ。

 と、こんな書き出しだとまた雑談だろって思われかねないのだけど、今日はあの『妄想間違い電話篇』だったりする。三日ぶりだな。とりあえず、あらすじーー

『娘の声を聴きたい。大河原ナオの母であるフサエは、実に半年ぶりに娘にコンタクトを取った。が、電話に出たのは五流大学に通ってそうな男だった。改めてナオの電話番号を確認しながら電話を掛けるフサエ。が、電話に出たのはまたもや五流大学の男。ナオはフサエにウソの電話番号を教えていたのだ。失意の中、フサエはナオのいる東京の街へと向かうのだった』

 とまぁ、こんな感じ。この『五流大学に通ってそうな男』というのは紛れもなくおれのことな。ま、通ってたのは五流大学ではなく、八流大学だけどな。それはさておき本編いくわーー

「ンニャコチョシリュカッ!」

 ストリートの真ん中で近藤武蔵は電話に向かって叫んだ。相手は村浜だ。

 村浜は、ナオーーサトコはやはり店には現れていないといった。が、武蔵にとってその答えは納得いくものではなかった。だからこそ、村浜の答えが気に食わず、

「そんなこと知るかッ!」

 と叫んだのだ。相変わらず滑舌も悪く、何といっているのかまったくわからない感じで、街ゆく人々もそんな武蔵を横目で、あるいはうしろ指をさすように嘲笑った目で眺めていた。

 中には、そんな武蔵に対して「キモイ」と嘲笑する女子高生のグループもあったーー尤もである。

 が、武蔵はそれが気に入らなかった。自分に対してキモイといった女子高生たちのもとにいくと、唐突にそのひとりの顔面を殴りつけた。

 不幸なことに武蔵は昔空手をやっており、人を殴ることに関しては手慣れていた。さらに年齢を重ねるごとに蓄えられていった脂肪によって体重が乗り、拳に更なる威力を与えていた。

 殴られた女子高生はその場に倒れ込んだ。他の女子高生は、何が起こったのかわからないように呆然としていた。

 が、武蔵は手を止めない。女子高生の顔を何度も殴打し、横になったところを蹴りつけた。

 ストリートに悲鳴が響く。武蔵は息を切らしてーー

「バキャニシュルナァ!」

 と叫んだ。唐突にキレて人を平気で殴りつける上に、何をいっているかわからない。オマケに名前が避妊具みたいとなると本当にいいところがない武蔵ではあったが、悲鳴を聴いても焦ることなく、歩いてその場を立ち去った。

 苛立ちが募る。これもサトコが唐突に消えてしまったせいーーいや、彼女のせいにするつもりはない。きっと、自分の何かが至らなかったせいで、サトコを怒らせてしまったのだろう。その思いが、武蔵を更に苛立たせる。

 ストリートを歩いているとふたりの警察官が武蔵の前に立ちはだかった。どちらも男性で片方は若く、もう片方は顔に中年のシワが刻まれていた。

「待ちなさい!」

 若い警官がいう。その口振りからは職務に対する熱意が感じられるが、中年の警察官はどこか面倒くさそうだった。

 が、武蔵は若い警官の指示に従うどころか肩をぶつけてふたりの警官の間を通り抜けていった。そんな武蔵の態度に、若い警官は更に武蔵に立ち止まるようにいった。

 そこで漸く武蔵は足を止めて振り返った。

「ナニュクァヨウクァ?」

 武蔵が訊ねると、若い警官は、何いってんだコイツとでもいうようにポカーンとしたが、すぐに強硬な態度を取り戻して、

「何じゃないだろう。自分が何をやったのかわかっているのか?一緒に来てもらおう」

 といったが、武蔵は、

「オリェガダリェダキャシリャナイノキャ?」

 と脂肪だらけの顔を梅干しのように歪ませていった。誰かわかる以前に滑舌が悪すぎて何をいっているかわからないだろうに。

 だが、そのひとことが中年警官のアンニュイな表情を真に迫らせた。と思いきやすぐさま唇を震わせて顔に恐怖を刻んでみせ、

「いや、いいんだ」と若い警官にいい、「すみませんでした」

 と武蔵に頭を下げた。が、そんな中年警官の態度に納得のいかない若い警官は、

「何をいっているんですか!この男はーー」

 と強くいい返したが、

「いいといっているだろ!」

 とさっきまでのアンニュイさはどこへいったかのように中年警官は声を荒げた。それが衝撃的だったのか、若い警官は何とか反論しようとしたもののすぐにことばを失ってしまった。

「イッチェイイノクァ?」

 武蔵がいうと、何かいおうとした若い警官を遮って中年警官がどうぞといい、武蔵はその場から立ち去った。

 武蔵が何事もなかったかのようにその場を立ち去れたのには、父親である香田組組長と近隣署のお偉いさんとの間に密接な関係があり、以前も息子である武蔵がトラブルを起こした際も、武蔵の父親のひとことによって、武蔵は罪に問われることなく、逆に武蔵を逮捕した警官が、突如失踪してしまうということがあった。

 以来、武蔵は近隣署の職員から「歩く治外法権」とアダ名されるようになった。

 そんな「歩く治外法権」こと武蔵は、警官の呼び掛けをスルーした後もポケットに手を入れながらブスッとした顔で歩いていた。

 苛立ちが止まらない。これまで、欲しいものは何でも手に入れてきた。だが、今はたったひとりの女性をモノにできずにいる。

 バカげている。何故こんなーー

 スマホが震えた。

 懐から取り出してディスプレイを見ると、懇意にしている探偵の名前が表示されていた。

 その探偵は、昼間は一般人相手に、高い仕事料にズサンすぎる仕事内容という形でぼったくり、夜は裏社会の人間相手に安い仕事料でハイリスクな仕事をしている男だった。

「ナニュクァワカッタキャ?」

 挨拶も抜きに武蔵はいう。探偵は一瞬、武蔵が何をいったのか吟味するような間を開けた後、いった。

「標的を見つけた」

 武蔵の口許が静かに緩んだーー

 とまぁ、今日はこんな感じで終わり。避妊具みたいな名前のクセに強すぎだよな。あっ、いえ、そんなこと、全然ーーうわっ!止めて下さい!止め……ッ!

 ……アスタラビスタ。
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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