【一年三組の皇帝~睦拾壱~】
文字数 599文字
色んなイメージが浮かび上がる。
人と人との関係性、ある人のパーソナリティ、ぼく個人の考え方。泣きながら謝罪のことばを口にする辻の姿、明るく振る舞いながらも関口たちにパシリにされる田宮、ふとした瞬間にぼくへ心配の目を向けるハルナ、そして獲物を見るような目の関口。
「林崎くん」
ぼくの名前を呼ぶヤエちゃんの声が何度も響き渡る。アレは授業に集中していないぼくへの注意のひとことだったと同時に、ぼくへの心配のひとことだったと思う。
授業が終わってもヤエちゃんはぼくを呼び出したり、何かしらの連絡をしてくることもなかった。ただ、あのひとことがヤエちゃんからのメッセージだったのだろう。
やはり自分の中でもまだ決心というか、強い気持ちみたいなのがないのだろう。それは自分の中で恐れがあるから。
負けたらどうなるとは何度も考えた。当然死にはしない。しない、が。中学一年のまだ前半で殆ど自分の身を売るようなことをして、今後どうする。どうする?
考えるだけで、それが実を付けつぼみになることはない。空回りのイマジネーション。動かないことには結果はついてこない。
一時間目は終わり、二時間目、三時間目と時間が次から次へと去っていき、気づけば給食の時間になっていた。ぼくは自分の給食を取りに行くのも忘れていた。と、給食着を着た真っ白な格好の誰かが給食皿を持ってぼくの前に立っているのに気づいた。
和田だった。
【続く】
人と人との関係性、ある人のパーソナリティ、ぼく個人の考え方。泣きながら謝罪のことばを口にする辻の姿、明るく振る舞いながらも関口たちにパシリにされる田宮、ふとした瞬間にぼくへ心配の目を向けるハルナ、そして獲物を見るような目の関口。
「林崎くん」
ぼくの名前を呼ぶヤエちゃんの声が何度も響き渡る。アレは授業に集中していないぼくへの注意のひとことだったと同時に、ぼくへの心配のひとことだったと思う。
授業が終わってもヤエちゃんはぼくを呼び出したり、何かしらの連絡をしてくることもなかった。ただ、あのひとことがヤエちゃんからのメッセージだったのだろう。
やはり自分の中でもまだ決心というか、強い気持ちみたいなのがないのだろう。それは自分の中で恐れがあるから。
負けたらどうなるとは何度も考えた。当然死にはしない。しない、が。中学一年のまだ前半で殆ど自分の身を売るようなことをして、今後どうする。どうする?
考えるだけで、それが実を付けつぼみになることはない。空回りのイマジネーション。動かないことには結果はついてこない。
一時間目は終わり、二時間目、三時間目と時間が次から次へと去っていき、気づけば給食の時間になっていた。ぼくは自分の給食を取りに行くのも忘れていた。と、給食着を着た真っ白な格好の誰かが給食皿を持ってぼくの前に立っているのに気づいた。
和田だった。
【続く】