【ナナフシギ~漆拾参~】
文字数 519文字
妙にリアルな夢を見た後は何とも不思議な気分になる。
それは今そこにいる現実が果たして本当に現実なのかという迷いを生み、夢と現実の区別がつきづらくなる。
祐太朗が夢だと思っている学校での景色ーー普通に考えたらアレは夢であっても可笑しくないモノだ。だが、少年でありながら霊の世界に片足を突っ込んでしまっている祐太朗にとってはアレほど現実的な夢もなかった。そもそも幽霊が見える時点で祐太朗自身浮き世離れしているのだから。
だが、アレが夢だとしたら祐太朗にとってありがたいことなのはいうまでもなかった。倒れて行くクラスメイトに行方のわからないヤツ、どうなったかわからない先生と腐れ縁の少年、悪霊に取り囲まれた妹と弟。それらがすべてウソになるのだから。
と、突然岩淵は慎ましく笑って見せた。
「何が可笑しいんだよ」
「坊っちゃん、アレが本当にウソだと思うんですか?」
祐太朗は動揺を見せた。アレが夢でなかったらこれまでに起きた最悪の出来事がすべて現実ということになる。
「じゃあ、他のヤツラは......?」
それはもはや問いではなくひとりごとのようだった。祐太朗の中でもそれが現実だということを認めたくないのだろう。
「まだ、霊道の中ですよ」
【続く】
それは今そこにいる現実が果たして本当に現実なのかという迷いを生み、夢と現実の区別がつきづらくなる。
祐太朗が夢だと思っている学校での景色ーー普通に考えたらアレは夢であっても可笑しくないモノだ。だが、少年でありながら霊の世界に片足を突っ込んでしまっている祐太朗にとってはアレほど現実的な夢もなかった。そもそも幽霊が見える時点で祐太朗自身浮き世離れしているのだから。
だが、アレが夢だとしたら祐太朗にとってありがたいことなのはいうまでもなかった。倒れて行くクラスメイトに行方のわからないヤツ、どうなったかわからない先生と腐れ縁の少年、悪霊に取り囲まれた妹と弟。それらがすべてウソになるのだから。
と、突然岩淵は慎ましく笑って見せた。
「何が可笑しいんだよ」
「坊っちゃん、アレが本当にウソだと思うんですか?」
祐太朗は動揺を見せた。アレが夢でなかったらこれまでに起きた最悪の出来事がすべて現実ということになる。
「じゃあ、他のヤツラは......?」
それはもはや問いではなくひとりごとのようだった。祐太朗の中でもそれが現実だということを認めたくないのだろう。
「まだ、霊道の中ですよ」
【続く】