【ペテン師は善人の名を騙り】

文字数 2,509文字

 日常において、アンタはどのように振る舞っているだろうか。

 この日々の振る舞い、立ち振舞いというのは非常に重要だ。というのも、その振る舞い方ひとつで、その人の立ち位置を決めてしまうのだから、日常をどのように生きるかというのは重要な項目になるのはいうまでもない。

 やはり、こういう場合に大切なのは、如何に素直にいられるかだと思うのだ。

 中には拗らせた中学生のように、ちょっとひねくれたのがカッコいい、そうすることで人に才能があると思われるんじゃないかと勘違いしているとんでもないおバカさんがいるが、それは大きな間違いであるのはいうまでもない。

 というのも、人はそういった、自分がすごいと勘違いしているヤツが大嫌いだからだ。まぁ、これで本当に才能やセンスがあれば別なのだけど、無能なクセにそういう振る舞いをするヤツは徹底的に嫌われる。

 そして、そういうヤツで本当に才能やセンスがあるヤツというのは限りなく少ない。

 まぁ、これはいってしまえばギタリストのイングヴェイみたいな感じなのだろうけど、イングヴェイも他人に対してはひねくれていても、ギターや音楽、ファンに対してはどこまでも純粋であることを考えると、やはり才能やセンスがある人というのはあるポイントではどこまでも純粋な一面を見せるモノで、ひねくれているとはまた違うのかもしれない。

 そう考えると思うのは『作ったひねくれ』というのはただの害悪でしかないということだ。

 まぁ、かくいうおれはというと、今でこそ何処までもどストレートなマヌケだといえるけれど、それこそ昔は変にひねくれたクソガキだった。やはり、その頃はひねくれていることに才能を感じるとかとんでもない勘違いをしていたし、そうすることが何処かカッコいいと思っていた節があったと思うのだ。

 が、それは勘違いでしかなかったとおれは気づいてしまった。どのタイミングでかは覚えていないが、そう、人はひねくれ者よりも素直な人間を好む。そうわかってからは、おれもストレートであろうとするようになったワケだ。

 とはいえ、これは元からそうだったのかもしれない。三つ子の魂百までというように、人の性格というのは基本的に変わらないのだから。

 そして、人前でストレートな振りをすることもおれは同様に得意だったのだ。だからこそ、教育からも同級生からも「マジメ」というレッテルを貼られ、そのレッテルを使って上手く学校生活を泳ぎ切れたと思うのだ。

 とはいえ、どんな打算的なヤツでもボロは出る。というか、打算的であろうとなかろうと、人は自分を偽れば偽るほどにボロを出しやすくなる。気をつけなければならないのは、偽った自分の姿というモノを次も如何に再現できるかどうか、だ。それが出来なければ、これまで築き上げてきた土台もすべて崩壊しかねない。

 要は如何にして齟齬を見せずに自分という存在を取り繕うかが重要になってくるというワケだ。さて、今日はそんな話ーー

 あれは中学二年の時のことだ。

 その時はちょうど部活終わりで、教室で友人たちと着替えをしていたのだ。まぁ、そんな中で友人と話すことといえば色々で、次のテストのことからゲームのこと、テレビのこと、あるいは学内のことと話題は様々だった。

 が、その中でも特に盛り上がってしまうのが、みんな共通の話題である学校の話である。

 まぁ、学校の話といっても、おれの通っていた五村西中はイカれた教師とイカれた生徒がたくさんいたこともあって、そういったネタばかり話していたワケだ。

 そんな中、おれたちの間でーー、

 もこみちの話が出てきたのだ。

 もこみちを覚えているだろうか。そう、あの骸骨のような容貌をした可笑しなヤツだ。

 もこみちといえば、ジェットコースターで気絶したり、高橋に教科書に卑猥な落書きをされたりと中々変な目に遭わされており、そんなもこみちのエピソードの中でも特にイカれているのがーー、

 小野寺先生のホームページの掲示板に国語教師の康子先生とのエロ小説が貼られまくったことだろう。

 これをやった犯人は原野くんという大人しめなゲーマーなのだけど、改めて考えてもイカれた話だと思う。そもそも、教師のホームページの掲示板に教師と生徒のエロ話を書くって普通に狂ってるだろ。それもクオリティのかなり低いモノを。普通は書かないのだけど、それをやってしまうのが五村西クオリティというか。

 ちなみに康子先生はこの当時で五十代で、特に美人というワケでもないどこにでもいるようなおばさんだったワケだ。平凡なおばさんと骸骨のエロ話なんて、どこに需要があるのか。

 そんな感じでその日ももこみちと康子先生がデキているという本当に下らない話をしていたのだ。そこでおれはテンションが上がり過ぎて、

「康子ォーッ!」

 と大仁田がゴージャス松野を襲撃する時みたいに、バカみたいに叫んだのだ。もうね、自分でも頭が悪いと思う。これでも教員の間ではマジメな生徒で通っているなんて誰が思うだろう。

 とまぁ、そんな感じで康子先生の名前を呼び捨てで叫んでいると、

 友人の顔が急に歪んだのだ。

 これには流石におれも違和感を抱き、康子先生の名前を叫びながら振り向いたワケだ。そしたらーー

 康子先生が目の前にいたのだ。

 もう、やっちまったって感じだよな。これでもおれはマジメな生徒なんだぜ。これじゃ折角作り上げた土台が台無しーーとはいえ、ここで誤魔化すのが自称マジメな生徒。そこでーー

「康子ォーッ先生ェー! 今度のテストはぁー! 難しいですかぁー!?」

 かなり無理がある誤魔化し方をしたのだ。

 もはや何処から突っ込むべきかわからないレベルなんだけど、まぁ、これでもおれも必死に誤魔化したつもりだったのだ。何だよ、次のテストは難しいですか?って。バカ丸出しだろ。

 まぁ、そんな感じで誤魔化した結果、康子先生は呆然としながらも、

「まだ……、作ってないですけど……」

 とおれの質問にしっかりと答えてくれたのだ。マジメか。ハチャメチャする時は周りをちゃんと確かめましょう。

 これの何処がマジメな生徒なんだか。

 やっぱ五村西は狂ってる。

 アスタラ。
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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