【ジ・エンドの始まりに】

文字数 1,911文字

 同じことは永遠とは続かない。

 これは当たり前の話だ。そもそも、物事には始まりがあれば終わりがある。違いといえば、そのスパンが長いか短いかだけだーーまぁ、クオリティや密度がどうとかって話は別として。

 さて、昨日で『初舞台~台本選定篇~』が終了したワケで、今日からは『本稽古篇』だ。

 というワケであらすじーー「アポロガイストは倒れた。が、それも束の間、新たなるGoDの支配者キングダークが、GoD悪人軍団を引き連れてその姿を現し、神敬介は、キングダーク率いる悪人軍団との激戦に巻き込まれていくのだった」

 というワケで、神敬介も新しい戦いに巻き込まれていくのだけど、本チャンのあらすじとしてはーー上で説明しちゃったんだよね。そっちを読んでな。

 さて、始めてくーー。

 台本が決まった翌週から本番に向けた稽古が始まった。といっても、すぐにそれっぽい稽古が始まるワケではない。

 芝居の稽古について知らない方も多いと思うので説明しておくと、基本的に芝居の本稽古には三つの段階がある。

 その三つとは、「読み稽古」、「荒立ち稽古」、「立ち稽古」だ。

 「読み稽古」はシンプルに演出の指導のもと、それぞれの役者で台本の読み合わせをする稽古だ。これは座って行うことが多い。

 そもそも、役が決まっていないこともあるので、どの役者にどの役を振るか吟味するという意味合いを持つこともしばしばある。

 あと、シンプルにシナリオの流れを全員で追う目的もある。ひとりで黙読するより、みんなで声出しして流れを追ったほうが、見えるものも変わってくるというのは、いうまでもない。

 次に「荒立ち稽古」。これは、「読み稽古」を終え、各々の役者が、舞台装置という制約に縛られずに立って行う稽古だ。この段階ではまだ台本を手放さないことが多い。とはいえ、セリフを覚えるのが早い人は、早々に台本を外して自分のヴィジョンを表現するのだけど。

 大体、この段階で芝居の大枠の段取りをつけるのだが、まだ完成にはほど遠い状態。

 最後が「立ち稽古」。これは説明するほどでもないのだろうけど、実際の舞台での芝居を作り上げるための稽古だ。いうまでもなく台本は持たず、場ミリや代用品を使って舞台装置がある想定で行うので、本番に近い状態となる。

 ただ、本番に近いとはいえ、途中で試行錯誤して動きを変更したり、アドリブを入れてそれを本チャンの演技として取り入れたりすることもある。そこは演出次第で、その場その場で出来上がるものを好む人もいれば、始めから自分の思い描いたように動く以外はオールNGという人もいる。

 ちなみに、ヨシエさんは前者。その場その場で役者が作り上げるものによって柔軟に芝居を作り上げるタイプの演出だった。

 まぁ、あと台本は持たないといったけど、中には本番一ヶ月を切っても自分の出演シーンを読んでいないおバカさんや、ひとりで台本を持ちながら荒立ちみたいなことをやっているおバカさんもいる。

 そういうヤツほど本番でミスるし、そのミスを人のせいにするので質が悪い。本すら読んで来ない雑魚が粋がるなよ。マジでブッとば……申し訳ない、イヤな記憶が蘇ったわ。

 さて、本稽古の第一回目は読み稽古だ。まだこの時点で本役は決まっていなかったが、ヨシエさんによって役者と役が指定され、台本を読み進めていくこととなった。

 おれが読むのはいうまでもなく、『山田和雅』だ。といっても、あの埼玉弁で話す悟りを開いたような孤高の男ではなく、もの凄くナイーブな役で、まぁ、青年特有の憂鬱というか、病人特有の憂鬱というか、その複雑な心境を読み取るのが非常に難しかった。

 台本を読み終え、演出からのダメ出しが入る。といっても、本役ではないので、「次はこんな感じでやってみて!」といったアドバイス的な感じではあったけど。

 ヨシエさんがいったおれへのダメ出しは、「次は病人ぽくやってみて」だった。

 病人ぽく。改めて考えると、これが難しいのだ。当然、おれも普通に病気にかかったこともある。だが、その時の感覚や何かっていうのは案外詳細には覚えていないことが多い。

 これを読んでいるあなたも考えてみて貰いたい。病人ぽいとはどういうことなのか。それが、キャラクターの造形というヤツだ。

 結局、その次の本読みでも、同じダメを貰ってしまい、おれは本格的に「病人とは何なのか」を考えるようになったのだったーー

 とまぁ、今日はここまで。次回は本役の決定についてかな。まぁ、もう決まったようなもんだけどな。

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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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