【ナナフシギ~漆拾~】
文字数 629文字
校庭は暗闇に包まれていた。
聴こえてくる呻き声は次第に大きくなっていた。遊具で遊んでいた詩織と和雅の姿はもはやそこにはなくなっていた。蠢く影。祐太朗たちは取り巻く悪霊たちの影を振りほどこうとしていた。だが、その数はもはや目視してわかるレベルではなくなっていた。
「どうすんだよ......!?」
清水はパニックを起こしていた。エミリも必死に堪えてはいるが、恐怖は表情を伝って表れていた。岩淵は相も変わらずニヤついていた。祐太朗は、余裕なんてあるはずがなかった。
「鈴木......」清水がいった。「何か、気持ち、悪く、なってきた......」
清水は自分の口を押さえて身体を丸めた。その呼吸は明らかに荒くなっていた。エミリが大丈夫かと訊ねても、清水は首を振ることが限界といった様子だった。
「どうする......?」
エミリの質問に対し、祐太朗は口をつぐんだ。どうするにも完全なドン詰まり。逃げるにしても今の清水やエミリでは逃げられるだけの体力はない。彼らを見捨てるという選択肢はもっての他。岩淵なら平気でそうするだろうが、祐太朗には無理だった。
ドサッという音がした。清水だった。完全に気を失い、その場に倒れ込んでしまっている。とうとう来た、そういう空気が漂い始めた。かと思えば、
「わたしも、ダメかも......」
とエミリ。そのことばから少ししてエミリはバタりと倒れてしまった。
「さて、ふたり倒れましたが、どうします?」
岩淵がいった。祐太朗はーー
【続く】
聴こえてくる呻き声は次第に大きくなっていた。遊具で遊んでいた詩織と和雅の姿はもはやそこにはなくなっていた。蠢く影。祐太朗たちは取り巻く悪霊たちの影を振りほどこうとしていた。だが、その数はもはや目視してわかるレベルではなくなっていた。
「どうすんだよ......!?」
清水はパニックを起こしていた。エミリも必死に堪えてはいるが、恐怖は表情を伝って表れていた。岩淵は相も変わらずニヤついていた。祐太朗は、余裕なんてあるはずがなかった。
「鈴木......」清水がいった。「何か、気持ち、悪く、なってきた......」
清水は自分の口を押さえて身体を丸めた。その呼吸は明らかに荒くなっていた。エミリが大丈夫かと訊ねても、清水は首を振ることが限界といった様子だった。
「どうする......?」
エミリの質問に対し、祐太朗は口をつぐんだ。どうするにも完全なドン詰まり。逃げるにしても今の清水やエミリでは逃げられるだけの体力はない。彼らを見捨てるという選択肢はもっての他。岩淵なら平気でそうするだろうが、祐太朗には無理だった。
ドサッという音がした。清水だった。完全に気を失い、その場に倒れ込んでしまっている。とうとう来た、そういう空気が漂い始めた。かと思えば、
「わたしも、ダメかも......」
とエミリ。そのことばから少ししてエミリはバタりと倒れてしまった。
「さて、ふたり倒れましたが、どうします?」
岩淵がいった。祐太朗はーー
【続く】