【五村西、キングオブファイターズ】
文字数 2,388文字
好きなモノがあるのはいいことだと思う。
こればかりは否定しがたいことだろう。好きなモノがあると、それだけで人生も豊かに感じられるし、こころの支えにもなってくれる。
まぁ、生きている上で好きなモノがまったくないということはまずないとは思うのだけど、とはいえ、そういったモノが少ないという人は少なくないとは思う。
変な話、好きなモノがある、というのはまた曖昧な話ではある。そもそも好きなモノは作ろうとして作れるモノでもないし、好きだと錯覚していてもそうでもないモノだってある。
この矛盾したようなふたつの話だが、これって結構ある話だと思うのだ。
例えば、「趣味を作ろう」みたいな話。これも何とも矛盾した話だと思う。そもそも趣味というのは、何となく興味、好奇心があるところから始まって、気づけばのめり込んでいると、そういったことだと思うのだ。
が、それを意図的にやってしまうと、あたかも自分を騙しているようで、「おれはこれが好きなんだ!」と自己暗示しているのと変わりはなく、いざその話題になっても大して食いつけないなんてこともザラにある。
まぁ、もう殆ど話してしまったけれど、「好きだと錯覚している」というのはそういうことだと思うのだ。
錯覚したところで、本当に好きでなければ不意に話題が降ってきてもそれに対応することができない。好奇心から知らないことを訊きたがろうともしないし、話をしようともしない。まぁ、話をしようとはしなくても、聴く姿勢でも結構バレバレにはなってしまう。
そう考えると好きという感情は非常に曖昧でで形容しがたいモノではあるけれど、これほど純粋な気持ちというのも逆に存在しないのだろうとは正直思う。
かくいうおれはというと、比較的好きなモノが多いといわれるタイプだ。あれこれ個別にいうと話が長くなるんでカテゴリーで軽くピックアップすると、映画、音楽、小説、居合、芝居、沖縄空手なんかがそこに当てはまるだろう。
ただ、時々迷うこともある。というのも、やはり唐突に熱が冷めたような、話をしている最中の自分の食いつきを客観的に考えると、本当にそれが好きなのかと疑問に思ってしまうことも少なくないのだ。
まぁ、変に考えすぎるのもどうかとは思うんで、好きなら好きでいいんじゃないかとは思うんだけどな。
とはいえ、好きが高じて何かとマズイことになるのは如何なモノではある。やはり、人生はメリハリが大切だと思うのだ。
さて、今回はそんな話であるーー
あれは中学一年の時のことだった。その当時、おれと友人たちの間では、あるゲームがブームになっていた。そのゲームは、
『キングオブファイターズ』だった。
まぁ、知らない人のために説明すると格闘ゲームである。また雑な説明を、とも思われるだろうけど、早い話がストリートファイターに次ぐ勢いーーというか、一時期はストリートファイター以上のーーを持っていた格闘ゲームだ。
おれがこの『キングオブファイターズ』ーー以下、『KOF』ーーにハマった切っ掛けはというと、何となく買ってやってみたら面白かった『CAPCOM VS SNK 2』の影響とキャナの紹介だったりするのだけど、おれがKOFの何に牽かれたかというとーー
品性を疑うような言動をするキャラクターがいたことだ。
まぁ、具体的な名前を挙げてしまうと『山崎竜二』なのだけど、兎に角、このシリーズの登場キャラクターの品性を疑うような暴言を吐いたりする猥雑感にドハマりしてしまったのだ。
そんなこともあって、仲間内でキャナの持っているKOFのソフトを回して楽しんだり、ゲーセンに行って各々のプレイを観たりして一種のムーブメントが巻き起こっていたワケだ。
そんなある日のことである。おれはキャナやグッチョン、春樹たちと共に市内にあるデパートのゲームコーナーに行き、KOFを始めとした、2D格闘ゲームをプレイしていたのだ。
おれもその時はちょうど下手の横好きで、当時一番新しかったKOFの筐体をプレイしていたのだけど、そしたらーー
背後にゲーセンの店員が立っていたのだ。
これには頭もアテナーーじゃなかった、ハテナ。何か悪いことしただろうかとにわかに不安になったのだ。
ちなみに、その店員は当時から色んな人の間で接客態度がヤバイと有名で、客には敬語は使わないのは当たり前、舌打ちはするし、ガキは真っ先に疑うといったような不敬のプロフェッショナルみたいなヤツだったワケだ。
ついでに太ってたこともあって、キャナがつけたアダ名が『豚の角煮』。
そんな感じで豚の角煮がおれの背後でおれのプレイを見ていたのだ。これにはおれもどうしていいのかわからず、取り敢えずワンプレイを終えてイスから立ち上がり、友人たちの元に戻って、豚の角煮のことを話したのだ。
「あの豚の角煮、何なんだろうな」とキャナ。
そんなこんなで、さっきまでプレイしていたKOFの筐体のほうを振り向いたのだ。そしたらーー
豚の角煮が普通にKOFやってた。
それも普通に制服着て、業務時間中に。
いやいやいや、何をやっているんだ角煮さんといいたい気分ではあったよな。てか、普通にうしろに客並んでるぞ。
点検ではないのは一目瞭然。普通にプレイして、舌打ちしてコンボとか決めて、その筐体にずっと居座ってお楽しみだったのだ。
結局、その後はこの豚の角煮もいつしかいなくなっていまして、風のウワサによると、普通に態度が悪すぎてクレームの嵐でクビになったんだとか。やっぱ、好きなモノをやるのも時と場合を選ばなきゃだよな。てか、業務中に客前で遊ぶなんて普通しないよな。
まぁ、残念なことにそれから数年してKOFはシリーズとして一時期沈黙はしたけど、今は蘇っているようで、何より。
でも、もう格闘ゲームはやらないかなぁ。だって、下手なんだもん。
アスタラ。
こればかりは否定しがたいことだろう。好きなモノがあると、それだけで人生も豊かに感じられるし、こころの支えにもなってくれる。
まぁ、生きている上で好きなモノがまったくないということはまずないとは思うのだけど、とはいえ、そういったモノが少ないという人は少なくないとは思う。
変な話、好きなモノがある、というのはまた曖昧な話ではある。そもそも好きなモノは作ろうとして作れるモノでもないし、好きだと錯覚していてもそうでもないモノだってある。
この矛盾したようなふたつの話だが、これって結構ある話だと思うのだ。
例えば、「趣味を作ろう」みたいな話。これも何とも矛盾した話だと思う。そもそも趣味というのは、何となく興味、好奇心があるところから始まって、気づけばのめり込んでいると、そういったことだと思うのだ。
が、それを意図的にやってしまうと、あたかも自分を騙しているようで、「おれはこれが好きなんだ!」と自己暗示しているのと変わりはなく、いざその話題になっても大して食いつけないなんてこともザラにある。
まぁ、もう殆ど話してしまったけれど、「好きだと錯覚している」というのはそういうことだと思うのだ。
錯覚したところで、本当に好きでなければ不意に話題が降ってきてもそれに対応することができない。好奇心から知らないことを訊きたがろうともしないし、話をしようともしない。まぁ、話をしようとはしなくても、聴く姿勢でも結構バレバレにはなってしまう。
そう考えると好きという感情は非常に曖昧でで形容しがたいモノではあるけれど、これほど純粋な気持ちというのも逆に存在しないのだろうとは正直思う。
かくいうおれはというと、比較的好きなモノが多いといわれるタイプだ。あれこれ個別にいうと話が長くなるんでカテゴリーで軽くピックアップすると、映画、音楽、小説、居合、芝居、沖縄空手なんかがそこに当てはまるだろう。
ただ、時々迷うこともある。というのも、やはり唐突に熱が冷めたような、話をしている最中の自分の食いつきを客観的に考えると、本当にそれが好きなのかと疑問に思ってしまうことも少なくないのだ。
まぁ、変に考えすぎるのもどうかとは思うんで、好きなら好きでいいんじゃないかとは思うんだけどな。
とはいえ、好きが高じて何かとマズイことになるのは如何なモノではある。やはり、人生はメリハリが大切だと思うのだ。
さて、今回はそんな話であるーー
あれは中学一年の時のことだった。その当時、おれと友人たちの間では、あるゲームがブームになっていた。そのゲームは、
『キングオブファイターズ』だった。
まぁ、知らない人のために説明すると格闘ゲームである。また雑な説明を、とも思われるだろうけど、早い話がストリートファイターに次ぐ勢いーーというか、一時期はストリートファイター以上のーーを持っていた格闘ゲームだ。
おれがこの『キングオブファイターズ』ーー以下、『KOF』ーーにハマった切っ掛けはというと、何となく買ってやってみたら面白かった『CAPCOM VS SNK 2』の影響とキャナの紹介だったりするのだけど、おれがKOFの何に牽かれたかというとーー
品性を疑うような言動をするキャラクターがいたことだ。
まぁ、具体的な名前を挙げてしまうと『山崎竜二』なのだけど、兎に角、このシリーズの登場キャラクターの品性を疑うような暴言を吐いたりする猥雑感にドハマりしてしまったのだ。
そんなこともあって、仲間内でキャナの持っているKOFのソフトを回して楽しんだり、ゲーセンに行って各々のプレイを観たりして一種のムーブメントが巻き起こっていたワケだ。
そんなある日のことである。おれはキャナやグッチョン、春樹たちと共に市内にあるデパートのゲームコーナーに行き、KOFを始めとした、2D格闘ゲームをプレイしていたのだ。
おれもその時はちょうど下手の横好きで、当時一番新しかったKOFの筐体をプレイしていたのだけど、そしたらーー
背後にゲーセンの店員が立っていたのだ。
これには頭もアテナーーじゃなかった、ハテナ。何か悪いことしただろうかとにわかに不安になったのだ。
ちなみに、その店員は当時から色んな人の間で接客態度がヤバイと有名で、客には敬語は使わないのは当たり前、舌打ちはするし、ガキは真っ先に疑うといったような不敬のプロフェッショナルみたいなヤツだったワケだ。
ついでに太ってたこともあって、キャナがつけたアダ名が『豚の角煮』。
そんな感じで豚の角煮がおれの背後でおれのプレイを見ていたのだ。これにはおれもどうしていいのかわからず、取り敢えずワンプレイを終えてイスから立ち上がり、友人たちの元に戻って、豚の角煮のことを話したのだ。
「あの豚の角煮、何なんだろうな」とキャナ。
そんなこんなで、さっきまでプレイしていたKOFの筐体のほうを振り向いたのだ。そしたらーー
豚の角煮が普通にKOFやってた。
それも普通に制服着て、業務時間中に。
いやいやいや、何をやっているんだ角煮さんといいたい気分ではあったよな。てか、普通にうしろに客並んでるぞ。
点検ではないのは一目瞭然。普通にプレイして、舌打ちしてコンボとか決めて、その筐体にずっと居座ってお楽しみだったのだ。
結局、その後はこの豚の角煮もいつしかいなくなっていまして、風のウワサによると、普通に態度が悪すぎてクレームの嵐でクビになったんだとか。やっぱ、好きなモノをやるのも時と場合を選ばなきゃだよな。てか、業務中に客前で遊ぶなんて普通しないよな。
まぁ、残念なことにそれから数年してKOFはシリーズとして一時期沈黙はしたけど、今は蘇っているようで、何より。
でも、もう格闘ゲームはやらないかなぁ。だって、下手なんだもん。
アスタラ。