【セルフ洗脳術、売ります】

文字数 1,636文字

 コロナウイルスにはうがい薬が利く。

 これは記憶に新しいデマなのだけれど、初め、これを聞いてどう思っただろう。

 馬鹿バカしい? 納得した? 是非試してみたいと思った?

 ちなみにおれは馬鹿バカしいと思ったのだけど、中にはそれが本当だと信じて疑わずにうがい薬を買い占めに走ったおバカさんがいたことを考えると、少し考えものだと思ってしまう。

 まぁ、このデマの何が問題だったかといえば、発言した人物が社会的に地位のある人物だったということで、それもあってか、買い占めに拍車を掛けてしまったことだろう。

 でも、改めて考えると、人間の脳っていうものは、中々柔軟性に欠けていると思う。それには個人差もあるかもしれないが、やはり人間の脳というのは、一度こうと思った考えをねじ曲げるのが苦手な傾向にある気がする。

 そりゃ、

「GoDに失敗は許されんッ! 貴様らは死刑だぁッ!」

 と自分の再生手術をしてくれた川上博士を殺してしまったのはいいけど、いざ時間が経ってみると自分の命には時間制限があって、それを何とかできるのが早田博士しかいない、と早田博士とともに自分の再生手術をしてくれた宮本博士から告げられ、

「……えぇい! 構わんッ! 貴様だけでもいいッ! 手術するのだッ!」

 とヤケクソになって宮本博士まで殺してしまうアポロガイストのようなものだと思うのだ。オマケにアポロガイストの再生した川上博士もいつの間にか早田博士とかいう名前に変わっているし、ほんと困ったものだ。

 もはや、何のことかわからなくなっている気がしなくもないのだけど、それくらい人間の頭というのは、一度こうと思ったら中々考えを変えられないということだ。

 小学生の時のことだ。おれはウインナーが大好きで、よく母親にウインナーをボイルしてもらってはおやつとして出してもらっていた。

 今考えると、ウインナーがおやつとかどんだけ贅沢なガキなんだとも思うのだけど、あの当時はそれが普通だと思ってたし、おれがあまりに喜んで食べるものだから、母もそれに応えようとしていたのだろう。

 とまぁ、美しい過去記憶はここまでで、本題はここからーー

 あれは小学六年のちょうどこの時期のことだったと思う。その時もいつも通りアホみたいな顔しながらウインナーを食べていたのだ。

 そしてまたひとつウインナーを口に運ぼうとしたその時、唐突にこう考えてしまったのだ。

 そういえば、これって豚の腸なんだよな。

 まぁ、これは間違いではないのだけど、そう考えた瞬間、食欲は急激に失せ、唐突な吐き気を覚えてしまい、ウインナーに手をつけられなくなってしまったのだ。

 それからというもの、ウインナーが食べられなくなり、母親が厚意でウインナーをボイルしてくれてもひと口も手をつけられずにゴミ箱送りという事案を何度かやらかしてしまい、怒られつつも色々と心配されたのだけど、流石にウインナーが豚の腸だから食べられなくなったとはいえず、おやつとしてウインナーが出されることもなくなってしまった。

 結局、半年ほどしてこの現象は収まり、また無事にウインナーを食べられるようになったのだけど、あれだけ好きだったウインナーが、ほんのちょっとした思考のせいで一瞬にして食べられなくなったことを考えると、つくづく人間の脳には欠陥があるのだろうなと思ったのだ。

……え、それはお前の脳に欠陥があるだろって?ーーまぁ、間違っちゃいない。

 他にも、シシャモを見ていたら、この目を歯で噛み砕くのかと考えてしまい、一年ほどシシャモが食べられなくなった事例とかがあるのだけど、大した話でもないので割愛。

 ま、ウインナーもシシャモも、今じゃ酒のツマミとしてよく食べるし、ひとついえるのはーー

 コロナにうがい薬が効くは流石にねぇだろ。

 デマにはくれぐれもお気をつけを。
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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