【一年三組の皇帝~弐拾玖~】
文字数 1,152文字
優等生、ヤンキー、オタク、パリピーー学校には実に色んなタイプの人がいるモンだ。
きっと、これは高校に行っても同じことなのだろう。高校では学力の上下が足切りされて平均化されるだけで、そこにいる人というのはやっぱり色んなタイプがいるのだと思うーーという話を以前ヤエちゃんがしていたような気がした。
でも、それはいってしまえば、近場の地区で集められたメンツで構成された中学校というのは、学力の上下がある分、かなり混沌とした場所なんじゃないかということだ。
今のぼくは優等生とヤンキーの間に挟まれてどっちに付くかというバランスゲームをやっている。
そして、またひとりややこしいのが現れた。
その人は今ぼくの目の前にいる。ぼくとその人はとある家の一室にいた。外から見た感じはとても豪華で、一目見て、住んでいる人がお金を持っているというのがわかる感じだった。
「入れよ」
その人はぼくにそういった。えっ、となった。そのぶっきらぼうなモノいいと豪邸のような立派な家の見た目があまりにもミスマッチだったのだ。
「......どうしたんだよ」
ぼくが呆然としていると、その人はいった。ぼくは単純に驚いただけだといった。
別に立派な家を見慣れていないワケでない。そもそも片山さんの家が何百年と続く名家で、広い庭のある、とても大きく立派なモノだったからだ。
確かに何百年と続く名家の建物と比べると、流石にその規模は落ちるが、そんなことを比べること自体が恥ずかしいというか。
「何いってんだよ、入らねぇなら早く帰りな」
そういってその人は家の中に入っていってしまった。自分で誘っておいてーーというか、まさか家に呼ばれるとは思ってもいなかったのだけどーーまったく勝手な話だ。
そうして家に入るも、中はやはり豪勢で、小さなヨーロッパの宮殿みたいな感じだった。その中の一階にある一室にその人は入った。ぼくも続いた。
その部屋は室外のヨーロッパ感とは無縁な感じだった。本という本が散らばっており、学習机の上はやはり雑然とし、ベッドの横には黒人ボクサーのポスターが飾ってあった。
「ボクシング好きなのか?」
その人が訊ねると、ぼくはーー
「いや、興味があるだけ。プロレスは良く観るんだけどさ」
「プロレスねぇ、あたしとは逆だね」
まぁ、そもそも女子がプロボクシングが好きってだけでも驚きなのに、そこでプロレスにも精通していたら、それはそれでーーとまぁ、名前を隠していたワケではないのだけど、この女子というのは長野いずみである。
いずみは話があるからといって放課後の部活後にぼくを家まで連れてきたワケだ。
「そんなことより」ぼくはいった。「訊きたいことって、何?」
そんなことはわざわざ訊ねなくてもわかっていた。そして、いずみは口を開いたーー
【続く】
きっと、これは高校に行っても同じことなのだろう。高校では学力の上下が足切りされて平均化されるだけで、そこにいる人というのはやっぱり色んなタイプがいるのだと思うーーという話を以前ヤエちゃんがしていたような気がした。
でも、それはいってしまえば、近場の地区で集められたメンツで構成された中学校というのは、学力の上下がある分、かなり混沌とした場所なんじゃないかということだ。
今のぼくは優等生とヤンキーの間に挟まれてどっちに付くかというバランスゲームをやっている。
そして、またひとりややこしいのが現れた。
その人は今ぼくの目の前にいる。ぼくとその人はとある家の一室にいた。外から見た感じはとても豪華で、一目見て、住んでいる人がお金を持っているというのがわかる感じだった。
「入れよ」
その人はぼくにそういった。えっ、となった。そのぶっきらぼうなモノいいと豪邸のような立派な家の見た目があまりにもミスマッチだったのだ。
「......どうしたんだよ」
ぼくが呆然としていると、その人はいった。ぼくは単純に驚いただけだといった。
別に立派な家を見慣れていないワケでない。そもそも片山さんの家が何百年と続く名家で、広い庭のある、とても大きく立派なモノだったからだ。
確かに何百年と続く名家の建物と比べると、流石にその規模は落ちるが、そんなことを比べること自体が恥ずかしいというか。
「何いってんだよ、入らねぇなら早く帰りな」
そういってその人は家の中に入っていってしまった。自分で誘っておいてーーというか、まさか家に呼ばれるとは思ってもいなかったのだけどーーまったく勝手な話だ。
そうして家に入るも、中はやはり豪勢で、小さなヨーロッパの宮殿みたいな感じだった。その中の一階にある一室にその人は入った。ぼくも続いた。
その部屋は室外のヨーロッパ感とは無縁な感じだった。本という本が散らばっており、学習机の上はやはり雑然とし、ベッドの横には黒人ボクサーのポスターが飾ってあった。
「ボクシング好きなのか?」
その人が訊ねると、ぼくはーー
「いや、興味があるだけ。プロレスは良く観るんだけどさ」
「プロレスねぇ、あたしとは逆だね」
まぁ、そもそも女子がプロボクシングが好きってだけでも驚きなのに、そこでプロレスにも精通していたら、それはそれでーーとまぁ、名前を隠していたワケではないのだけど、この女子というのは長野いずみである。
いずみは話があるからといって放課後の部活後にぼくを家まで連れてきたワケだ。
「そんなことより」ぼくはいった。「訊きたいことって、何?」
そんなことはわざわざ訊ねなくてもわかっていた。そして、いずみは口を開いたーー
【続く】