【明日、白夜になる前に~捌拾~】
文字数 758文字
雑踏と喧騒、ネオンはストリートから夜の暗闇を遠ざける。
ぼくはひとり、素通りして行く人々に流しつつ、腕時計で時間を確認している。スマホを見る。新着のメッセージはない。ぼくは軽く息を吐く。何だってこんなにも慣れないモノなのだろう。まぁ、それも仕方ないい、か。
この前のこと、直人の奥さんの春香さんが再婚したと知らされた。複雑か、と聞かれるとそうなるだろう。だが、いつまでも故人に縛られる人生は非常に苦しいモノであるのはいうまでもないし、ぼくのような外野がどうこういえることでもない。
桃井さんは合コンで知り合った優男といい感じに発展し、そのままゴールインした。結婚式に参加したアカリから見せて貰った写真を見る限り、本当に幸せで仕方がないといった様子で何よりだった。
黒澤さんのことは知らない。そもそもがちょっとした知り合い程度の仲だったし、いくら連絡先を知っていても、元気にしているかと訊ねるのも野暮というモノだろう。
中西さんのことは小林さん経由で何となく話は聴いている。何でも子供が出来たらしい。旦那さんともいい感じらしい。ぼくとしては、本人が幸せならばそれでいいと思う。ぼくがどうこういうことでもないし。
たまきは精神病院を出て、保護観察の状況下にあるという。本人も反省はしているし、ぼくも起訴しなかったこともあって、今はご両親と療養中である。ちなみに、ぼくも何か力になれれば、と今も定期的に会うようにしている。
それと、宗方アカリと里村鈴美に関してだけどーー
「ごめん! 待った?」
その声に引き寄せられるようにして、ぼくは振り返った。
あどけない笑顔にぼくの表情も緩んでしまう。細く引き締まった脚に黒く長い髪は彼女をより魅力的に見せている。いつものよく知る彼女の姿ーー
そして今日、白夜がやって来た。
【終】
ぼくはひとり、素通りして行く人々に流しつつ、腕時計で時間を確認している。スマホを見る。新着のメッセージはない。ぼくは軽く息を吐く。何だってこんなにも慣れないモノなのだろう。まぁ、それも仕方ないい、か。
この前のこと、直人の奥さんの春香さんが再婚したと知らされた。複雑か、と聞かれるとそうなるだろう。だが、いつまでも故人に縛られる人生は非常に苦しいモノであるのはいうまでもないし、ぼくのような外野がどうこういえることでもない。
桃井さんは合コンで知り合った優男といい感じに発展し、そのままゴールインした。結婚式に参加したアカリから見せて貰った写真を見る限り、本当に幸せで仕方がないといった様子で何よりだった。
黒澤さんのことは知らない。そもそもがちょっとした知り合い程度の仲だったし、いくら連絡先を知っていても、元気にしているかと訊ねるのも野暮というモノだろう。
中西さんのことは小林さん経由で何となく話は聴いている。何でも子供が出来たらしい。旦那さんともいい感じらしい。ぼくとしては、本人が幸せならばそれでいいと思う。ぼくがどうこういうことでもないし。
たまきは精神病院を出て、保護観察の状況下にあるという。本人も反省はしているし、ぼくも起訴しなかったこともあって、今はご両親と療養中である。ちなみに、ぼくも何か力になれれば、と今も定期的に会うようにしている。
それと、宗方アカリと里村鈴美に関してだけどーー
「ごめん! 待った?」
その声に引き寄せられるようにして、ぼくは振り返った。
あどけない笑顔にぼくの表情も緩んでしまう。細く引き締まった脚に黒く長い髪は彼女をより魅力的に見せている。いつものよく知る彼女の姿ーー
そして今日、白夜がやって来た。
【終】