【帰還者とニューカマーズ】
文字数 2,335文字
いやぁ、昨日はすまんね。
なに、昨日のヘイトのオンパレードな記事のことよ。あんな風に過去の因縁について長たらしく書くつもりはなかったんよね。あれこそ女々しいっていうんよな。
でも、いやな記憶について書くとどうしてもヒートアップしてしまうというか。
まぁ、そこで面白可笑しくできるか、抑えられるかで一流、二流、三流かが決まると思うんよ。おれ?ーー三流だろ、どう考えても。
それはさておき、昨日から始めた『師走のブラスト公演篇』だけど、今日も書いてく。なるべく短めで終わらせたいんで、あらすじ書いてそのまま本編いくわ。あらすじーー
『ブラストを辞めた五条氏は、一度のゲスト公演と、友人たちとの遠征公演を経た後、ブラストで交流のあった「タケシさん」、「さとちん」の申し出によって再びブラストの公演に出ることを決意したのだ』
まぁ、随分ざっくりとしたあらすじだけど、余計な感情が付随するくらいならこれくらいでいいか。では、書いてくーー
公演を終えた二週間後、おれは再び『ブラスト』の稽古場に足を踏み入れたのだが、
酷いモノだった。
何がって人もいなけりゃ、活気もないのだ。
おれが『ブラスト』に入った時は基本的に一〇人以上のメンバーが常駐していたもので、稽古場に着いた時点でも少なくとも五人はいたものだった。が、その日の稽古はスタート時点でおれを含めて三人しかいなかった。その内訳は、おれ、さとちん、「名人」の三人。
名人は、医療従事者の四〇代男性で、さとちんと同期で入団した「わたちゃん」の大学の演劇部の先輩だった。
ちなみに、わたちゃんは、医師としての研修で遠方へ赴任するため、ブラストを退団する予定ではあったのだが、赴任するギリギリまで、ブラストの活動を手伝ってくれるとのことだった。この日は用事で来れなかったのだけど。
で、名人に関してだが、彼とはこれが二度目の対面だった。
一度目に会ったのは、遠征公演を打つ前にブラストに宣伝しにいった時だった。その時の印象としては、わたちゃんの先輩と聞いていたこともあって、
「先輩って、一体何年上の先輩なんだ?」
という感じだった。というのも、わたちゃんはおれの三つ下なのだ。そう考えると、大学の演劇部の上下の繋がりが如何にしっかりしているかわかる。
それから三〇分ほどしてタケシさんも来て、稽古開始。それからさらに三〇分して「ヤマムー」が到着する。
ヤマムーは、おれがブラストにゲスト出演をした公演のすぐ後に入団した若手のメンバーで、年齢的には二〇代前半で、芝居は未経験。FPS系のゲームとへヴィメタルを愛し、一見寡黙なようにも見えるが、結構よくしゃべるのが特徴的な青年だった。
そんなメンツの中で読んだ本というのが、名人執筆のオリジナル台本、『アンドロメダの星』だ。ちなみにフェイクを入れているんで本の名前は実際のモノとは違うんだけどな。
内容はざっくり説明すると、主人公である冴えない男が、時間を改変して死んだ娘を蘇らせようとする話だ。とはいえ、時間のループに伴い、記憶も失われ、何度も同じ流れを繰り返しているという設定で、これが中々面白い。
まぁ、時間ループモノとなるとどうしても矛盾が生じてしまうのは致し方なく、その手のシナリオに関しては如何に矛盾を減らしつつ、見せ場を作っていくかが重要だと思うんで、作り上げていくのも中々難しいもんだと思う。
とはいえ、名人の台本の完成度はいい感じで、おれも代役で読んでいて「これ、やってみたいな」と思ったのだ。
稽古が終わり、メンバー的にはたった五人しかいない稽古場にて終わりの会が行われる。そこで、名人から、メンツはこれにて決定で大丈夫かと訊ねられる。が、おれはーー
「申し訳ない。戻りまーす」
みたいな感じで宣言したのだ。これは早い話が復団ということである。
ケンカ別れで辞めた古巣に戻ることほど格好悪いことはないのだけど、その時点でケンカしていたメンバーでブラストに在籍していたのはふたりだけで、しかもほぼ稽古には参加していない状態だったこともあって、ある意味でそこら辺の因縁はあってないようなモノだった。
いや、それはないか。
まぁ、ここら辺の事情に関しては周りも理解してくれていて、復団しやすい環境にあったのが大きいのだけど、何より何もいわずに歓迎してくれた友人でもある現役メンバーたちには感謝してもし切れないわ。
まぁ、とはいえね、復団するからおれの役を増やせなどという横柄なことなんか、とてもいえたことではないワケで。
というのも、おれも小説を書く前に何本か舞台台本を書いていて、書くことの大変さを知っていたし、その台本に対して横柄な口振りや要求をされることの不快感も知っていたこともあってな。だから、名人には、
「もし、シナリオとしてバランスが崩れるのだったら、無理して役を増やさなくても全然大丈夫ですよ。ただ、とても面白い本なので、役者としてみんなでひとつの芝居を作れたらと思うと本当にワクワクするし、きっと楽しい公演になると思いました。だから、仮に役につかなかったとしても、スタッフとして裏から支えさせて頂きますので、決して無理はせずに」
とこんな感じで伝えはしたんよね。おれみたいにネットワーク上で好き勝手小説を書くのと違って、芝居はひとりじゃ作れないからな。当たり前な話だけど、それを忘れてしまっている人も多くて。というか、それを忘れてしまったら芝居をやる資格はないんだけどさ。
とまぁ、そんな感じで、新生ブラストに復帰した老害予備軍の五条氏ではありますが、今日はここまで。次回は更なるニューカマーと稽古に関してだな。あと三回くらいで終わるかな。
アスタラビスタ。
なに、昨日のヘイトのオンパレードな記事のことよ。あんな風に過去の因縁について長たらしく書くつもりはなかったんよね。あれこそ女々しいっていうんよな。
でも、いやな記憶について書くとどうしてもヒートアップしてしまうというか。
まぁ、そこで面白可笑しくできるか、抑えられるかで一流、二流、三流かが決まると思うんよ。おれ?ーー三流だろ、どう考えても。
それはさておき、昨日から始めた『師走のブラスト公演篇』だけど、今日も書いてく。なるべく短めで終わらせたいんで、あらすじ書いてそのまま本編いくわ。あらすじーー
『ブラストを辞めた五条氏は、一度のゲスト公演と、友人たちとの遠征公演を経た後、ブラストで交流のあった「タケシさん」、「さとちん」の申し出によって再びブラストの公演に出ることを決意したのだ』
まぁ、随分ざっくりとしたあらすじだけど、余計な感情が付随するくらいならこれくらいでいいか。では、書いてくーー
公演を終えた二週間後、おれは再び『ブラスト』の稽古場に足を踏み入れたのだが、
酷いモノだった。
何がって人もいなけりゃ、活気もないのだ。
おれが『ブラスト』に入った時は基本的に一〇人以上のメンバーが常駐していたもので、稽古場に着いた時点でも少なくとも五人はいたものだった。が、その日の稽古はスタート時点でおれを含めて三人しかいなかった。その内訳は、おれ、さとちん、「名人」の三人。
名人は、医療従事者の四〇代男性で、さとちんと同期で入団した「わたちゃん」の大学の演劇部の先輩だった。
ちなみに、わたちゃんは、医師としての研修で遠方へ赴任するため、ブラストを退団する予定ではあったのだが、赴任するギリギリまで、ブラストの活動を手伝ってくれるとのことだった。この日は用事で来れなかったのだけど。
で、名人に関してだが、彼とはこれが二度目の対面だった。
一度目に会ったのは、遠征公演を打つ前にブラストに宣伝しにいった時だった。その時の印象としては、わたちゃんの先輩と聞いていたこともあって、
「先輩って、一体何年上の先輩なんだ?」
という感じだった。というのも、わたちゃんはおれの三つ下なのだ。そう考えると、大学の演劇部の上下の繋がりが如何にしっかりしているかわかる。
それから三〇分ほどしてタケシさんも来て、稽古開始。それからさらに三〇分して「ヤマムー」が到着する。
ヤマムーは、おれがブラストにゲスト出演をした公演のすぐ後に入団した若手のメンバーで、年齢的には二〇代前半で、芝居は未経験。FPS系のゲームとへヴィメタルを愛し、一見寡黙なようにも見えるが、結構よくしゃべるのが特徴的な青年だった。
そんなメンツの中で読んだ本というのが、名人執筆のオリジナル台本、『アンドロメダの星』だ。ちなみにフェイクを入れているんで本の名前は実際のモノとは違うんだけどな。
内容はざっくり説明すると、主人公である冴えない男が、時間を改変して死んだ娘を蘇らせようとする話だ。とはいえ、時間のループに伴い、記憶も失われ、何度も同じ流れを繰り返しているという設定で、これが中々面白い。
まぁ、時間ループモノとなるとどうしても矛盾が生じてしまうのは致し方なく、その手のシナリオに関しては如何に矛盾を減らしつつ、見せ場を作っていくかが重要だと思うんで、作り上げていくのも中々難しいもんだと思う。
とはいえ、名人の台本の完成度はいい感じで、おれも代役で読んでいて「これ、やってみたいな」と思ったのだ。
稽古が終わり、メンバー的にはたった五人しかいない稽古場にて終わりの会が行われる。そこで、名人から、メンツはこれにて決定で大丈夫かと訊ねられる。が、おれはーー
「申し訳ない。戻りまーす」
みたいな感じで宣言したのだ。これは早い話が復団ということである。
ケンカ別れで辞めた古巣に戻ることほど格好悪いことはないのだけど、その時点でケンカしていたメンバーでブラストに在籍していたのはふたりだけで、しかもほぼ稽古には参加していない状態だったこともあって、ある意味でそこら辺の因縁はあってないようなモノだった。
いや、それはないか。
まぁ、ここら辺の事情に関しては周りも理解してくれていて、復団しやすい環境にあったのが大きいのだけど、何より何もいわずに歓迎してくれた友人でもある現役メンバーたちには感謝してもし切れないわ。
まぁ、とはいえね、復団するからおれの役を増やせなどという横柄なことなんか、とてもいえたことではないワケで。
というのも、おれも小説を書く前に何本か舞台台本を書いていて、書くことの大変さを知っていたし、その台本に対して横柄な口振りや要求をされることの不快感も知っていたこともあってな。だから、名人には、
「もし、シナリオとしてバランスが崩れるのだったら、無理して役を増やさなくても全然大丈夫ですよ。ただ、とても面白い本なので、役者としてみんなでひとつの芝居を作れたらと思うと本当にワクワクするし、きっと楽しい公演になると思いました。だから、仮に役につかなかったとしても、スタッフとして裏から支えさせて頂きますので、決して無理はせずに」
とこんな感じで伝えはしたんよね。おれみたいにネットワーク上で好き勝手小説を書くのと違って、芝居はひとりじゃ作れないからな。当たり前な話だけど、それを忘れてしまっている人も多くて。というか、それを忘れてしまったら芝居をやる資格はないんだけどさ。
とまぁ、そんな感じで、新生ブラストに復帰した老害予備軍の五条氏ではありますが、今日はここまで。次回は更なるニューカマーと稽古に関してだな。あと三回くらいで終わるかな。
アスタラビスタ。