【難解言語の落とし穴】
文字数 2,507文字
語弊ーーことばの使い方が適切でないために誤解を招くいい方、あるいはそれによって起こる弊害。
なるほどって話である。
いきなり、何、単語の意味を引用しているのか、といった話なのだけど、この日本では日々の生活の中でたくさんの語弊が生じている。
そうでなくとも日本語というのは世界三大難解言語のひとつとされているくらいに難しく面倒なことばなワケだ。
だからこそ、日本語は美しいのだ、というのもわからないではないけれど、逆にいえば汚れたものも同様に産み出しているのではないかと思えなくもない。
ちなみにいっておくと、おれは反日でもなければ日本語が劣悪だとも思ってないからな。
そもそも反日だったら居合にハマったりしないだろうし、日本語が劣悪だと思ってたらこんな風に日本語で文章を書いて公開なんかしてないーーそれはちょっと説得力に欠けるか。
とはいえ、よくいわれる話でも、一人称や二人称でも種類がたくさんあり、尊敬、謙譲、丁寧、侮蔑と相手に対することばの掛け方ですら微細な表現があるのだから、誤解を招きやすいというのはいうまでもないと思うのだ。
さて、今日はそんな語弊の話だ。
あれ、『妄想間違い電話篇』は?って思う変わり者もひとりはいるかもーーいないか。
ま、『間違い電話篇』はまたすぐ再開するわ。何せ、四日連続でアイのシナリオを即興的に書いたもんで、即興シナリオに関しては少し休みを取って下らない文章を書きたいのだよ。わかっておくれ。
あ、気にしてないですか、そうですか。
じゃ、書いてくわーー
あれは中学一年の六月くらいのことだ。その辺りともなると、学校生活にも慣れ始め、入学と同時に入った卓球部でも、いい感じに人間関係を築けていたのだ。
というか、メンツがメンツで、外山をはじめ、キャナや健太郎くん、榎本に麻生にグッチョン、あとついでにもこみちと、そんなメンツの中にいれば、つまらないワケがなかった。
部内も上下関係が厳しかったということもなくのびのびとやれていたし、台やボールといった道具の準備も二年生や三年生と協力してやっていて本当に平和だった。ピンフじゃないよ。
そんなある日の放課後、おれは授業を終え、体育館へいき、部活の準備を始めたのだ。
が、そんな中、同じ一年生の成川が調子悪そうにしていたのだ。
成川は、この駄文集では初登場だが、実は結構付き合いのあった人物で、幼稚園から高校まで同じで、しかも中学の塾も同じで、高校では三年間クラスが一緒という、偶然に偶然が重なり過ぎてもはや怖いといったヤツだった。
ちなみに、『ブラスト』での初舞台も友人から話を聞いて観に来てくれたり、それ以降も予定が会えば舞台に足を運んでくれている上に、毎年年末になると外山やキャナ、健太郎くん、グッチョン、麻生らと一緒に飲むという、今でも付き合いのある友人のひとりだったりする。
何だかんだ、今でも会って一緒に飲める友人がたくさんいるって、我ながらいい人生を送っていると思うわーー手前味噌だけどな。
それはさておき、その成川が準備している最中、ずっと調子悪そうにしていたのだ。
これには周りのヤツラも、
「タイ人、何かあったのか?」
や
「やーい、ベトコン!」
や
「同じアフガンの友人はもっと辛いと思うぞ」
といった同情のことばを成川に掛けていました。ちなみに成川はただ色黒なだけで、タイもベトナムもアフガンも関係ない純日本人です。
んで、成川もそれらの質問に対して、
「いや、頭痛いんだよ。それと、タイ人でもなければ、ベトコンでもアフガンでもねぇわ」
といっていました。多分、芸人になっていたら、アンジャッシュ大嶋さん的な立ち位置だったと思いますわ。あ、児嶋か。
まぁ、でも、そんな感じで頭が痛いといわれたら、そりゃ心配になるじゃないですか。だからね、おれも彼に訊ねたんですよ。
「頭、大丈夫なの?」
ってな。そしたら、成川にーー
「うるせえんだよ! テメエなんかにそんなこといわれる筋合いねぇんだよ!」
とぶちギレられてしまいました。
いや、ワケがわからなかった。
何故に体調の心配したにも関わらず、ブチギレられなきゃならんのか。
それ以来、おれと成川の関係は悪化ーーというより、おれが一方的に成川をいじり倒し、周りがそれに加担してワケがわからないことになるといった感じになったんだわ。
まぁ、その当時はそれで終わったのだけど、話はこれで終わりでなく、今から二年前、突然あることに気づいたのだ。
その時のシチュエーションは全然覚えていないし、誰と何を話していたのかも覚えていないのだけど、おれはある人と会話している最中に、語弊があることをいってしまい、それに対して謝っていたのだ。
とはいえ、相手も大人なので、誤解だと伝えると笑って許してくれ、
「日本語って難しいよな」
みたいにいってくれたのだ。そしたら、
唐突に気づいてしまったのだ。
何にって、成川がブチギレた理由に、だ。
何故、あの時成川はブチギレたのか。それは、おれがまったく想定していなかった理由からだった。思い返して欲しい。あの時、おれは何といったのか。それはーー
「頭、大丈夫なの?」
である。そう、成川はこれをーー
「お前、頭、イカれてるの?」と解釈していたのだ。
目から鱗だった。中学時代のちょっとした出来事を今さら思い出し、そのトリックに気づいて、ひとり感嘆し始めたこともあって、その時の話し相手も随分とドン引きしたことだろう。だって驚きだったんだもん。
しかし、そう考えると何だか申し訳なくなり、おれも日本語には気をつけようと深く反省したのだった。日本語、ややこしいんだよ。
ちなみに去年の年末に、みんなで集まった時に成川にそのことを話すと、成川は、
「何でそんな誰も覚えてないようなこと覚えてるんだよ!? おれも忘れてたわ!」
と驚きつつも笑っていました。おれが記憶のブラックホールなのはさておき、お互い、大人になったものだなと感慨深く思ったのでした。
今年は例のアレの影響でみんなで会うのも無理かもしれないと思うと、寂しいなぁ……。
アスタラビスタ。
なるほどって話である。
いきなり、何、単語の意味を引用しているのか、といった話なのだけど、この日本では日々の生活の中でたくさんの語弊が生じている。
そうでなくとも日本語というのは世界三大難解言語のひとつとされているくらいに難しく面倒なことばなワケだ。
だからこそ、日本語は美しいのだ、というのもわからないではないけれど、逆にいえば汚れたものも同様に産み出しているのではないかと思えなくもない。
ちなみにいっておくと、おれは反日でもなければ日本語が劣悪だとも思ってないからな。
そもそも反日だったら居合にハマったりしないだろうし、日本語が劣悪だと思ってたらこんな風に日本語で文章を書いて公開なんかしてないーーそれはちょっと説得力に欠けるか。
とはいえ、よくいわれる話でも、一人称や二人称でも種類がたくさんあり、尊敬、謙譲、丁寧、侮蔑と相手に対することばの掛け方ですら微細な表現があるのだから、誤解を招きやすいというのはいうまでもないと思うのだ。
さて、今日はそんな語弊の話だ。
あれ、『妄想間違い電話篇』は?って思う変わり者もひとりはいるかもーーいないか。
ま、『間違い電話篇』はまたすぐ再開するわ。何せ、四日連続でアイのシナリオを即興的に書いたもんで、即興シナリオに関しては少し休みを取って下らない文章を書きたいのだよ。わかっておくれ。
あ、気にしてないですか、そうですか。
じゃ、書いてくわーー
あれは中学一年の六月くらいのことだ。その辺りともなると、学校生活にも慣れ始め、入学と同時に入った卓球部でも、いい感じに人間関係を築けていたのだ。
というか、メンツがメンツで、外山をはじめ、キャナや健太郎くん、榎本に麻生にグッチョン、あとついでにもこみちと、そんなメンツの中にいれば、つまらないワケがなかった。
部内も上下関係が厳しかったということもなくのびのびとやれていたし、台やボールといった道具の準備も二年生や三年生と協力してやっていて本当に平和だった。ピンフじゃないよ。
そんなある日の放課後、おれは授業を終え、体育館へいき、部活の準備を始めたのだ。
が、そんな中、同じ一年生の成川が調子悪そうにしていたのだ。
成川は、この駄文集では初登場だが、実は結構付き合いのあった人物で、幼稚園から高校まで同じで、しかも中学の塾も同じで、高校では三年間クラスが一緒という、偶然に偶然が重なり過ぎてもはや怖いといったヤツだった。
ちなみに、『ブラスト』での初舞台も友人から話を聞いて観に来てくれたり、それ以降も予定が会えば舞台に足を運んでくれている上に、毎年年末になると外山やキャナ、健太郎くん、グッチョン、麻生らと一緒に飲むという、今でも付き合いのある友人のひとりだったりする。
何だかんだ、今でも会って一緒に飲める友人がたくさんいるって、我ながらいい人生を送っていると思うわーー手前味噌だけどな。
それはさておき、その成川が準備している最中、ずっと調子悪そうにしていたのだ。
これには周りのヤツラも、
「タイ人、何かあったのか?」
や
「やーい、ベトコン!」
や
「同じアフガンの友人はもっと辛いと思うぞ」
といった同情のことばを成川に掛けていました。ちなみに成川はただ色黒なだけで、タイもベトナムもアフガンも関係ない純日本人です。
んで、成川もそれらの質問に対して、
「いや、頭痛いんだよ。それと、タイ人でもなければ、ベトコンでもアフガンでもねぇわ」
といっていました。多分、芸人になっていたら、アンジャッシュ大嶋さん的な立ち位置だったと思いますわ。あ、児嶋か。
まぁ、でも、そんな感じで頭が痛いといわれたら、そりゃ心配になるじゃないですか。だからね、おれも彼に訊ねたんですよ。
「頭、大丈夫なの?」
ってな。そしたら、成川にーー
「うるせえんだよ! テメエなんかにそんなこといわれる筋合いねぇんだよ!」
とぶちギレられてしまいました。
いや、ワケがわからなかった。
何故に体調の心配したにも関わらず、ブチギレられなきゃならんのか。
それ以来、おれと成川の関係は悪化ーーというより、おれが一方的に成川をいじり倒し、周りがそれに加担してワケがわからないことになるといった感じになったんだわ。
まぁ、その当時はそれで終わったのだけど、話はこれで終わりでなく、今から二年前、突然あることに気づいたのだ。
その時のシチュエーションは全然覚えていないし、誰と何を話していたのかも覚えていないのだけど、おれはある人と会話している最中に、語弊があることをいってしまい、それに対して謝っていたのだ。
とはいえ、相手も大人なので、誤解だと伝えると笑って許してくれ、
「日本語って難しいよな」
みたいにいってくれたのだ。そしたら、
唐突に気づいてしまったのだ。
何にって、成川がブチギレた理由に、だ。
何故、あの時成川はブチギレたのか。それは、おれがまったく想定していなかった理由からだった。思い返して欲しい。あの時、おれは何といったのか。それはーー
「頭、大丈夫なの?」
である。そう、成川はこれをーー
「お前、頭、イカれてるの?」と解釈していたのだ。
目から鱗だった。中学時代のちょっとした出来事を今さら思い出し、そのトリックに気づいて、ひとり感嘆し始めたこともあって、その時の話し相手も随分とドン引きしたことだろう。だって驚きだったんだもん。
しかし、そう考えると何だか申し訳なくなり、おれも日本語には気をつけようと深く反省したのだった。日本語、ややこしいんだよ。
ちなみに去年の年末に、みんなで集まった時に成川にそのことを話すと、成川は、
「何でそんな誰も覚えてないようなこと覚えてるんだよ!? おれも忘れてたわ!」
と驚きつつも笑っていました。おれが記憶のブラックホールなのはさておき、お互い、大人になったものだなと感慨深く思ったのでした。
今年は例のアレの影響でみんなで会うのも無理かもしれないと思うと、寂しいなぁ……。
アスタラビスタ。