【帝王霊~百拾捌~】

文字数 524文字

 怒りが無限の動力となっていた。

 運動不足で硬くなり、年齢と重力に勝てなくなった身体が大きな息を吐き出しながら躍動し続けていた。祐太朗は逃げた男を追って薄暗い廊下を走った、走ったーー走り続けた。

 靴音が暴力的に響いた。逃げた男の靴が床をブン殴る音。それを追って祐太朗も床を靴で殴打し続けた。苦しいに違いなかった。だが、祐太朗の目には疲れより、怒りと憎悪がドス黒く噴き出していた。

 廊下を走り抜けた。ゴミや石ころを蹴飛ばそうとも祐太朗は何も気にしなかった。兎に角、あの男を殺せればそれでいい、そんな声が聴こえて来そうだった。

 突き当たり。靴音はーー階段を駆け上がっていた。祐太朗も階段を上がった。普段は一段ずつダルそうに昇る階段もこの時は一段飛ばしに一気に駆け上がって行った。上の階に着くと、足音の方向を探った。上。尚も階段を上がっているようだった。祐太朗も更に階段を駆け上がって行こうとした。

「待って!」

 突然、女の声でそう聴こえた。祐太朗は思わず足を止めた。辺りを見回した。呼吸の音が周りの音を邪魔していた。視界がグラグラと揺れた。それらしき人の姿も霊の姿もなかった。気のせい。祐太朗は舌打ちして階段を再び駆け上がろうとした。そしてーー

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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