【湿気た花火~肆~】
文字数 503文字
夜、背中には懐かしい感触。
まだおれのベッドは残っていた。随分と荒っぽい使い方をしていたこともあって、中央部が陥没していたが、まだ全然使える。
荒っぽい使い方が何か、って?ーー単純にプロレスのスープレックスの真似をしていただけだ。布団の上とはいえ、頭とモノを何度も勢い良くぶつけていれば、土台となるベッドもへたりが来るのはいうまでもない。
ベッドから手を伸ばしてコンポのボタンを押した。起動が遅い。五つあるCDポート、その一番上のモノの再生ボタンを押した。反応はない。二番目もダメ。三番目も。どうやらCDは聴けないらしい。試しにMDを再生しようとボタンを押すと、これはどうやら起動するようだ。懐かしのMD。今じゃ死語だし、生産停止で存在を知らない世代も普通に現れ始めているレベルだ。
流れ出したのは、おれが中学生の時に好きだったゲームのテーマ曲だった。懐かしい。このディスクは、ロック、ポップスとかジャンル関係なく、その当時気に入った曲を適当に入れた一番最初に使い始めたモノだった。
記憶の海に浮かびながら、おれは目を閉じた。当時の記憶がセピア色に甦って来た。
突然、部屋のドアを叩く音がした。
【続く】
まだおれのベッドは残っていた。随分と荒っぽい使い方をしていたこともあって、中央部が陥没していたが、まだ全然使える。
荒っぽい使い方が何か、って?ーー単純にプロレスのスープレックスの真似をしていただけだ。布団の上とはいえ、頭とモノを何度も勢い良くぶつけていれば、土台となるベッドもへたりが来るのはいうまでもない。
ベッドから手を伸ばしてコンポのボタンを押した。起動が遅い。五つあるCDポート、その一番上のモノの再生ボタンを押した。反応はない。二番目もダメ。三番目も。どうやらCDは聴けないらしい。試しにMDを再生しようとボタンを押すと、これはどうやら起動するようだ。懐かしのMD。今じゃ死語だし、生産停止で存在を知らない世代も普通に現れ始めているレベルだ。
流れ出したのは、おれが中学生の時に好きだったゲームのテーマ曲だった。懐かしい。このディスクは、ロック、ポップスとかジャンル関係なく、その当時気に入った曲を適当に入れた一番最初に使い始めたモノだった。
記憶の海に浮かびながら、おれは目を閉じた。当時の記憶がセピア色に甦って来た。
突然、部屋のドアを叩く音がした。
【続く】