【冷たい墓石で鬼は泣く~捌拾玖~】

文字数 679文字

 その顔色は夜の闇に紛れて余計に青く見えた。

 男はわたしのことばに何か引っ掛かりを見せたようにして目を見開くと、それを否定するようにフッと笑って見せた。わたしは男が何かをいいたげにしていたこともあって、口から布を外してやった。男は久しぶりに吸った美味しい空気を堪能してから、わたしを小馬鹿にするように笑って見せ、いった。

「何をいいやがる。おれの仲間がおれを殺すだって? 何だってそんなことーー」

「だったら何で一瞬沈黙したんだ」わたしのことばに男は何か反論しようとしたが、わたしは構わずに続けた。「貴様、自分が殺されるかもしれないと何かこころ当りがあるな」

「んなモン、あるワケ!」

「何を剥きになっている」わたしは殆ど確信していた。「図星を突かれて苦しくなったか」

「テメェがバカげたことをいうから、イラッと来たんだろうが!」

「だったら訊くが、ヤツラは明日になって貴様ら一堂が帰って来なかったら、貴様らのことを探しに来ると思ったか?」

 男はことばに詰まりつつも何とか絞り出したような声で「当たり前だろ」といった。だが、そのことばからは自信なんてモノはまったく見えなかった。

「貴様ら、銭だけの損得勘定だけで集まってるだろ。だったら、上のヤツラにとって下っ派の命なんかどうでもよくて、あくまで銭さえ手に入ればそれでいいと考えているだろう。貴様だって、他のヤツラが死んだところで、自分が生きていて銭が手に入ればどうでもいいと思っている。それが貴様らの薄い繋がりなんだからな」

「うるせぇ!」

 男が叫んだ。息をゼエゼエ吐いていた。と、突然声が聴こえたーー

「誰だ?」

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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