【湿気た花火~拾伍~】

文字数 528文字

 時間というのは時に残酷だ。

 いや、むしろ残酷でなかった試しがないかもしれない。どんなに成長しようと、それと同時に並行して退化しているのもまた事実だ。

 時間は確かに例のウイルスの影響を緩和させ、今ではかつてのような生活を少なからず送れるようにさせてくれたのは事実だ。だが、それと同時に失われたモノも多い。

 時間は待ってはくれない。人がどんなに時間に追い付こうとしても、アキレスと亀。いつまで経っても追い付くことは出来ない。

 おれの目に映ったのは、大きく規模が縮小された祭りの姿だった。

 テントはふたつ。かつて建っていた櫓はない。いつも掛かっていた『東京音頭』も世代的なことからかポップスに変わっていた。自治会館横の広場には隙間が目立っている。子供の数も殆どいない。少子化の波かどうかは知らない。だが、明らかに自分が子供だった頃より少なくなっている。

 これが時代ってヤツかーー何だか寂しさを感じた。しかし、おれの目につまらなそうにしてる子供の姿はない。もしかしたら、そう思っている子もひとりはいるかもしれないが、見た感じでそれを感じさせるモノはない。

 時代は変わった。そこに寂しさは感じるが、その変化を嘆くことはなかった。

 今の時代も悪くはねぇな。

 【続く】
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み