【冷たい墓石で鬼は泣く~玖拾玖~】

文字数 564文字

 終わったーーすべてが。

 わたしはたくさんの屍の真ん中で天を仰ぎ見ながらゼエゼエと息を吐いていた。あと少しで死ぬところだった。

 まさか、この村が旅人を引っ掛けてモノ盗りをする盗賊そのモノだったなど、誰が思っただろう。はじめにわたしがこの村を訪れた時、実際にオオカミ退治のために「山賊狩り」を依頼されていたのだが、それが終わればわたしは始末される予定だったというのだ。が、それは上手くいかなかった。わたしが襲撃して来た者たちを返り討ちにしてしまったからだ。

 あの襲撃者たちは、確かにわたしがたどり着いた山賊たちの仲間だった。だが、それとはまた別に、村の長である平蔵と他数名が元々は山賊の一味で、わたしを始末するようにかつての仲間たち数人にお使いを頼んだのだ。もちろん、頼まれた山賊たちは、山賊の頭たちには何も伝えず、仲間数人で隠れて仕事をしていた。だから、わたしが隠れ家に襲撃した時、向こうは何も知らなかったのだ。

 わたしを襲撃したことを平蔵に訊ねると当然の如くしらばっくれた。だが、話を続けていくと誤魔化すことは不可能だと悟ったのか、とうとうーー

 わたしは今一度、大きく溜め息をついた。わたしの袴を引っ張る者があった。わたしは見下ろした。

 数匹のオオカミがわたしの袴を噛み、引っ張っていた。わたしは彼らに微笑み掛けた。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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