【一年三組の皇帝~睦拾漆~】
文字数 566文字
コソコソ動き回るネズミはいずれ罠に引っ掛かって死んでしまう。
それはまるでぼく自身のようだった。ぼくはクラスのことをコソコソ嗅ぎ回るネズミだ。そして、今は罠にはまり掛けて死がうっすらと見えているような状態。
いずみとの会話はそこから少ししてすぐに終わった。いずみは何かを察したかのように唐突に話を打ち切って、それ以降はその話をして来なかった。そんないずみの姿がやけに不気味に思えてならなかった。
そんな昨日の出来事がぼくの頭の中で何度となく再放送され、ぼくは脳に汗を掻いた。そして、気づけば教室の中にいた。
いつも通りの光景。賑やかな教室に、関口たちの一派。だが、その何処を眺めても辻の姿は見当たらなかった。時間的にはまだ余裕があるとはいえ、この時間に辻が教室にいないのは珍しかった。机を見てもカバンはないし、海野と山路のふたりが難しい顔をしてうしろのロッカーに寄り掛かっているのを見ると、やはり辻は学校に来ていないのだろう。
山路と海野のふたりはぼくが教室に入ってきてからというモノ、ぼくのほうをジッと睨み付けて来た。多分、辻が学校に来ない原因がぼくにあるから、だと思っているのだろう。
ぼくはため息をついてカバンを自分の机に掛けると、そのまま机に伏せて寝た振りをした。
このまま、学校が終わってしまえばいいと思った。
【続く】
それはまるでぼく自身のようだった。ぼくはクラスのことをコソコソ嗅ぎ回るネズミだ。そして、今は罠にはまり掛けて死がうっすらと見えているような状態。
いずみとの会話はそこから少ししてすぐに終わった。いずみは何かを察したかのように唐突に話を打ち切って、それ以降はその話をして来なかった。そんないずみの姿がやけに不気味に思えてならなかった。
そんな昨日の出来事がぼくの頭の中で何度となく再放送され、ぼくは脳に汗を掻いた。そして、気づけば教室の中にいた。
いつも通りの光景。賑やかな教室に、関口たちの一派。だが、その何処を眺めても辻の姿は見当たらなかった。時間的にはまだ余裕があるとはいえ、この時間に辻が教室にいないのは珍しかった。机を見てもカバンはないし、海野と山路のふたりが難しい顔をしてうしろのロッカーに寄り掛かっているのを見ると、やはり辻は学校に来ていないのだろう。
山路と海野のふたりはぼくが教室に入ってきてからというモノ、ぼくのほうをジッと睨み付けて来た。多分、辻が学校に来ない原因がぼくにあるから、だと思っているのだろう。
ぼくはため息をついてカバンを自分の机に掛けると、そのまま机に伏せて寝た振りをした。
このまま、学校が終わってしまえばいいと思った。
【続く】