【一年三組の皇帝~捌拾~】
文字数 631文字
勝負するしかなかった。
自分の手はわからない。だが、仮にその手が良かろうが悪かろうが、カードをチェンジして状況が良くなるとは限らなかった。
ぼくが最初に引いたカードは間違いなく数字の大きい一枚だった。それは周りの反応を見ても明らかだった。そして、引き直したもう一枚も恐らく使いモノにならないという代物じゃないだろうことは何となくわかっていたーー周りがぼくのことをハメていなければ。
そう、周りで見ている連中が関口に買収されていて、ぼくのことをハメようとしているとしたら、これはもうアウトだ。田宮の姿は見えなくなっていた。
辻のことは正直どこまで信用していいかわからなかった。それはやはり一度対立した相手だという事実があるからだろう。限りなく低い可能性ではあるけれど、辻が関口と通じてないともいい切れなかった。敵意の見える海野と山路は論外。彼らはぼくへの敵意が今でも止むことはない。
この教室の中でぼくが信用できるのはハルナと片山さんぐらいだろう。とはいえ、片山さんは遠目で不安そうにゲームを眺めている。彼女の場合は今、そこにあるゲームよりも、その先に起こりうるリスクのほうへと目が行って、ぼくのことを心配しているという感じ。
ハルナの表情は口は結ばれ、目に力が溜まっている。何か強い意思のようなモノを感じさせる。大丈夫、勝てる。そういわんばかりだった。ぼくは彼女のその表情に賭けることにした。関口の薄ら笑いを浮かべた顔を見、ぼくはいったーー
「勝負だ」
【続く】
自分の手はわからない。だが、仮にその手が良かろうが悪かろうが、カードをチェンジして状況が良くなるとは限らなかった。
ぼくが最初に引いたカードは間違いなく数字の大きい一枚だった。それは周りの反応を見ても明らかだった。そして、引き直したもう一枚も恐らく使いモノにならないという代物じゃないだろうことは何となくわかっていたーー周りがぼくのことをハメていなければ。
そう、周りで見ている連中が関口に買収されていて、ぼくのことをハメようとしているとしたら、これはもうアウトだ。田宮の姿は見えなくなっていた。
辻のことは正直どこまで信用していいかわからなかった。それはやはり一度対立した相手だという事実があるからだろう。限りなく低い可能性ではあるけれど、辻が関口と通じてないともいい切れなかった。敵意の見える海野と山路は論外。彼らはぼくへの敵意が今でも止むことはない。
この教室の中でぼくが信用できるのはハルナと片山さんぐらいだろう。とはいえ、片山さんは遠目で不安そうにゲームを眺めている。彼女の場合は今、そこにあるゲームよりも、その先に起こりうるリスクのほうへと目が行って、ぼくのことを心配しているという感じ。
ハルナの表情は口は結ばれ、目に力が溜まっている。何か強い意思のようなモノを感じさせる。大丈夫、勝てる。そういわんばかりだった。ぼくは彼女のその表情に賭けることにした。関口の薄ら笑いを浮かべた顔を見、ぼくはいったーー
「勝負だ」
【続く】