【湿気た花火~拾玖~】
文字数 747文字
土曜の夕方は茜色に群青が混ざったような鮮やかな空模様だった。
おれは外夢の駅前にいた。人がいつも以上にたくさんいた。とはいえ、その人数はかつての外夢祭の半分程度といっても過言じゃないくらいに少なかった。
そう。かつての外夢祭は道も駅も人で埋まっており、床もまともに見えないような有り様だった。だが、今は確かに人は多いとはいえ、その密度はまばらといっても可笑しくはないレベルのモノだった。これも例のウイルスの影響だろう。アレ以降、そもそもが祭りの規模も縮小された。それは当然としても、やはりこんな田舎街ではやはりいくらウイルスに対する扱いが縮小されても、一度強まった警戒網を簡単に解くことはないようだ。
ある意味当たり前だが、同時にそれは文化の終焉の始まりでもあるのだろうと思った。人間はいつだって自分の首を自分で締める生き物だ。そして、それによって失われたモノは数知れない。それは同時に新しい文化の誕生も招くこととなるが、やはり新しいモノは古いモノの犠牲の上に成り立つ。それは、今回の花火と同様に。この祭りが終わるのもそう遠くないのかもしれない。
それはさておき、おれは出店を見て回った。確かに全盛期と比べれば出店は少ないが、それなりにはバラエティに富んでいるようだった。やはり規模の縮小に伴い、出店の抽選から漏れたところも多いのだろう。外夢祭は稼ぎ時であるにも関わらず、そこから漏れることはかなりシンドイだろう。
出店の数の人の数はまるで比例しているようだった。まぁ、ストリートを歩く人数は少ないほうが歩きやすいとはいえ、あの窮屈な感じを楽しむのも祭りの醍醐味といえばそうなのかもしれない。
おれは虫食いのように所々穴の空いたストリートを歩きながら出店を見て回った。
ハッとした。
【続く】
おれは外夢の駅前にいた。人がいつも以上にたくさんいた。とはいえ、その人数はかつての外夢祭の半分程度といっても過言じゃないくらいに少なかった。
そう。かつての外夢祭は道も駅も人で埋まっており、床もまともに見えないような有り様だった。だが、今は確かに人は多いとはいえ、その密度はまばらといっても可笑しくはないレベルのモノだった。これも例のウイルスの影響だろう。アレ以降、そもそもが祭りの規模も縮小された。それは当然としても、やはりこんな田舎街ではやはりいくらウイルスに対する扱いが縮小されても、一度強まった警戒網を簡単に解くことはないようだ。
ある意味当たり前だが、同時にそれは文化の終焉の始まりでもあるのだろうと思った。人間はいつだって自分の首を自分で締める生き物だ。そして、それによって失われたモノは数知れない。それは同時に新しい文化の誕生も招くこととなるが、やはり新しいモノは古いモノの犠牲の上に成り立つ。それは、今回の花火と同様に。この祭りが終わるのもそう遠くないのかもしれない。
それはさておき、おれは出店を見て回った。確かに全盛期と比べれば出店は少ないが、それなりにはバラエティに富んでいるようだった。やはり規模の縮小に伴い、出店の抽選から漏れたところも多いのだろう。外夢祭は稼ぎ時であるにも関わらず、そこから漏れることはかなりシンドイだろう。
出店の数の人の数はまるで比例しているようだった。まぁ、ストリートを歩く人数は少ないほうが歩きやすいとはいえ、あの窮屈な感じを楽しむのも祭りの醍醐味といえばそうなのかもしれない。
おれは虫食いのように所々穴の空いたストリートを歩きながら出店を見て回った。
ハッとした。
【続く】