【一年三組の皇帝~捌拾弐~】
文字数 816文字
それから二戦目、三戦目は何事もなく終わった。
ぼくは無難に二戦目は三位、三戦目は二位と大勝はしていないが、負けたともいい難い順位だった。これに対して辻は二戦目は五位、三戦目は四位と常に低空を飛行しているような状況だった。この時点でもはや後がない、といっても過言じゃなかった。
何だこれは。
仮にこれが仕組まれたことだとしたら、ぼくを上げて、辻を落とす意味は何だろう。わからない。わからないが、これがそういうことだとしたら、かなり状況はマズイことになるのはいうまでもないと思う。
辻を横目で見ると、表情自体は特に変化はないように見えたけど、微かな口許や目許の歪みを見れば、内心で焦っていることは簡単にわかることだった。
辻と目が合った。
「......何だよ」
辻はぼくに因縁をつけるようにいった。ぼくは答えに困って、いやぁと曖昧に返事した。すると、辻は舌打ちしていった。
「勝ってるからって余裕ぶってんじゃねえよ。イヤミな野郎だな。そんなことしてると足許掬われるぞ」
ハッとした。そんなことないと否定しようとしたが、留まり、こういい返した。
「うるせぇ、負け犬。人に因縁つける前に勝ったらどうなんだよ。読みが甘過ぎて簡単に勝てるからカモにされてんじゃねえのか」
「......あ?」
辻が勢い良く立ち上がった。ぼくも立った。椅子が想像以上にうるさい音を立てた。辻はぼくの胸ぐらを掴んで来た。ぼくは何も返さなかった。山路と海野が近づいてくるのが見えた。が、この争いも関口のひとことでストップされることとなった。
「で、どうするの? ケンカする? 勝負する?」
そういう関口はとてもつまらなそうだった。茶番劇を見せられているからなのか、はたまたこういうケンカにまったく興味がないからなのかはわからない。
辻がぼくの胸ぐらから手を放した。そのままつまらなそうに席へ戻る。ぼくもシワになった胸元を整えつつ席に着いた。
......待てよ!
【続く】
ぼくは無難に二戦目は三位、三戦目は二位と大勝はしていないが、負けたともいい難い順位だった。これに対して辻は二戦目は五位、三戦目は四位と常に低空を飛行しているような状況だった。この時点でもはや後がない、といっても過言じゃなかった。
何だこれは。
仮にこれが仕組まれたことだとしたら、ぼくを上げて、辻を落とす意味は何だろう。わからない。わからないが、これがそういうことだとしたら、かなり状況はマズイことになるのはいうまでもないと思う。
辻を横目で見ると、表情自体は特に変化はないように見えたけど、微かな口許や目許の歪みを見れば、内心で焦っていることは簡単にわかることだった。
辻と目が合った。
「......何だよ」
辻はぼくに因縁をつけるようにいった。ぼくは答えに困って、いやぁと曖昧に返事した。すると、辻は舌打ちしていった。
「勝ってるからって余裕ぶってんじゃねえよ。イヤミな野郎だな。そんなことしてると足許掬われるぞ」
ハッとした。そんなことないと否定しようとしたが、留まり、こういい返した。
「うるせぇ、負け犬。人に因縁つける前に勝ったらどうなんだよ。読みが甘過ぎて簡単に勝てるからカモにされてんじゃねえのか」
「......あ?」
辻が勢い良く立ち上がった。ぼくも立った。椅子が想像以上にうるさい音を立てた。辻はぼくの胸ぐらを掴んで来た。ぼくは何も返さなかった。山路と海野が近づいてくるのが見えた。が、この争いも関口のひとことでストップされることとなった。
「で、どうするの? ケンカする? 勝負する?」
そういう関口はとてもつまらなそうだった。茶番劇を見せられているからなのか、はたまたこういうケンカにまったく興味がないからなのかはわからない。
辻がぼくの胸ぐらから手を放した。そのままつまらなそうに席へ戻る。ぼくもシワになった胸元を整えつつ席に着いた。
......待てよ!
【続く】