【冷たい墓石で鬼は泣く~玖拾漆~】

文字数 521文字

 目が覚めるとまた真っ暗闇だった。

 わたしはとうとう自分が死んでしまったかのような錯覚を覚えたが、身体をまさぐり、何の変化も痛みもないことに気付きひと安心した。いや、痛みはあった。といっても、随分と長い間、ずっと歩いていたのだからそれは足も痛むのはいうまでもない。

 とはいえ、頭のほうは何処までもスッキリしていた。眠気もすっかり覚めていた。だが、大して寝たようには思えない。真っ暗な中寝て、真っ暗な中起きる。そこまで長い間は寝てないはずだ。しかし、身体に沈み込んでいた疲れは確かに弛んでいた。

 傍らに置いた刀を手探りで探した。ある。どうやら何も起きていないようだ。わたしは真っ暗な中で光を照らす月を見詰めた。

 ......形が違う。

 わたしが眠りについた時と若干月の形が異なっていた。それはまるでーー

 それで気づいた。

 少しの間寝ていたのではない。一日中寝てしまっていたようだ。

 これには流石に自分でも呆れてしまった。人気のない廃墟にて身を隠しつつ、ぐっすりと眠ったとはいえ、ここまでとは。

 まぁ、いいだろう。夜というのが好都合だった。何故なら、夜は無闇に動いても気づかれにくいから。

 わたしは大きく呼吸して、それから立ち上がった。

 【続く】
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み