【藪医者放浪記~百拾弐~】

文字数 574文字

 夕方ともなると闇が姿を現し始める。

 しかし、夜闇だけが闇ではないのはいうまでもない。そもそもが暗い場所というのも普通にある。例えるなら、土の下、だろう。

「......何だい、ここは」

 お凉がいった。それもそうだろう。ここは土の下にある道。何のためかはわからないが、わざわざ床下をブチ抜いて掘り進められ作られた道であることを考えると、やはり何かの意図があって作られたモノだと考えられた。しかし、何のためにーー

「知らねえよ」茂作はぶっきらぼうにいった。「本当にここから外へ出られるのかよ」

「考えてもみてよ。普通に考えてこういう隠しの道があるってことは、何かあった時にあの旗本のおデブを逃がすためって考えられるだろ? それ以外にはーー」

 ことばを紡ごうとすると、お凉は何かにぶつかった。痛いといいつつ、『それ』に手を触れる。どうやら壁ではないようだ。何だこれといいつつ、手の感覚だけでそれが何かを確かめる。......硬い。石ほどではないだろう。それに石というには大きな空洞に小さな空洞、色々と穴が空いている。だけでなく、小さい小粒な何かが半円を描くように並んでいるようだ。それも上と下ふたつに。そして、その半円を描く小粒な何かの大群は上下に割れるというか、開くようだった。

 お凉が声を上げた。どうした、と茂作。

「......これ、髑髏だよ」

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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