【ナナフシギ~玖拾捌~】
文字数 632文字
石川先生は不敵に笑っていた。
どういうことだ、一体。何故、石川先生は霊道のことなど知っているのだろうか。まさか、石川先生は既にこの世の人間ではーーいや、そうだとしても、ここが霊道だと認識出来るワケではない。むしろ、霊魂となって霊道をさまようこととなれば、自分が死んだと認識することなく、ただただ無限の地獄を繰り返すこととなるだけだ。霊魂だからといって、その世界が霊のモノだと認識しているケースはそもそもまれだ。
しかし、だとしたらどうして。それに、祐太朗が一度は確かに現実の世界へと戻り、また戻って来たということは確かなようだ。だからこそ疑問は尽きない。
「......何いってんだよ、先生」祐太朗は呆然としていった。「それに、おれが戻ったって......。それならおれがここに戻って来て、一緒に来たヤツがいたはずだけど、ソイツのことは見なかった......?」
恐る恐る祐太朗が訊くと、石川先生は何処か悲しそうな笑みを浮かべた。
「あの人には出ていって貰ったよ。あの人はこっちの世界とは調和することのない存在だから」
まただ。まるで、自分がこの霊の世界というモノを理解しているかのようなモノいい。確かに、岩淵はこっちの霊道には調和することはないだろう。いや、それどころか反発することはいうまでもない。
しかし、それは霊能力を持つという意味では祐太朗も同じだ。だとしたらーー
祐太朗はハッとした。そして、いった。
「......アンタ、石川先生じゃないな?」
【続く】
どういうことだ、一体。何故、石川先生は霊道のことなど知っているのだろうか。まさか、石川先生は既にこの世の人間ではーーいや、そうだとしても、ここが霊道だと認識出来るワケではない。むしろ、霊魂となって霊道をさまようこととなれば、自分が死んだと認識することなく、ただただ無限の地獄を繰り返すこととなるだけだ。霊魂だからといって、その世界が霊のモノだと認識しているケースはそもそもまれだ。
しかし、だとしたらどうして。それに、祐太朗が一度は確かに現実の世界へと戻り、また戻って来たということは確かなようだ。だからこそ疑問は尽きない。
「......何いってんだよ、先生」祐太朗は呆然としていった。「それに、おれが戻ったって......。それならおれがここに戻って来て、一緒に来たヤツがいたはずだけど、ソイツのことは見なかった......?」
恐る恐る祐太朗が訊くと、石川先生は何処か悲しそうな笑みを浮かべた。
「あの人には出ていって貰ったよ。あの人はこっちの世界とは調和することのない存在だから」
まただ。まるで、自分がこの霊の世界というモノを理解しているかのようなモノいい。確かに、岩淵はこっちの霊道には調和することはないだろう。いや、それどころか反発することはいうまでもない。
しかし、それは霊能力を持つという意味では祐太朗も同じだ。だとしたらーー
祐太朗はハッとした。そして、いった。
「......アンタ、石川先生じゃないな?」
【続く】