【湿気た花火~拾弐~】
文字数 483文字
驚くのも無理はなかった。
それは外夢祭の特集ページ、そこにある異物となるようのひとことが小さく添えられていたからだった。というのもーー
今年は花火の開催はありません、とのことだった。
花火は他の祭りと同様に、外夢祭の目玉のひとつだった。広範囲で開かれている売店ももちろんだが、何よりもこの祭りに花を添えていたのは、いうまでもなく二日間の内、土曜日の夜に打ち上げられる花火だったのだから。その花火をやらないというのは、異常事態もいいところだった。例のウイルスで外夢祭が開催出来なかった時ですら、雰囲気だけでもと花火だけは打ち上げられたくらいだったというのに。
おれは特集ページを詳細に、だが急くようにして文章を目で追った。どうやら、理由は近隣トラブルだそうだ。というのは、シンプルに花火の音がうるさいというバカみたいなクレームから、花火で飛び散る火花が家に降り掛かるのが危ないというデリケートなモノもあった。前者は論外だが、後者に関しては何もいえなかった。
今の時代、どうやら花火は湿気なくとも上がらないモノらしかった。
寂しい空気が暑さの中に漂っていた。
【続く】
それは外夢祭の特集ページ、そこにある異物となるようのひとことが小さく添えられていたからだった。というのもーー
今年は花火の開催はありません、とのことだった。
花火は他の祭りと同様に、外夢祭の目玉のひとつだった。広範囲で開かれている売店ももちろんだが、何よりもこの祭りに花を添えていたのは、いうまでもなく二日間の内、土曜日の夜に打ち上げられる花火だったのだから。その花火をやらないというのは、異常事態もいいところだった。例のウイルスで外夢祭が開催出来なかった時ですら、雰囲気だけでもと花火だけは打ち上げられたくらいだったというのに。
おれは特集ページを詳細に、だが急くようにして文章を目で追った。どうやら、理由は近隣トラブルだそうだ。というのは、シンプルに花火の音がうるさいというバカみたいなクレームから、花火で飛び散る火花が家に降り掛かるのが危ないというデリケートなモノもあった。前者は論外だが、後者に関しては何もいえなかった。
今の時代、どうやら花火は湿気なくとも上がらないモノらしかった。
寂しい空気が暑さの中に漂っていた。
【続く】