【一年三組の皇帝~捌拾参~】

文字数 546文字

 口許が震えそうだった。

 ヤバイ。完全にハメられているーーぼくはふとそう直感した。

 間違いない。関口はぼくと辻が繋がっていることをわかっている。だからこそ、ぼくと辻を分断する必要があった。人間なんて腐っても人間でしかない。そこには必ずといっていいほど欲やエゴが存在する。承認欲求がある。人間はなかなか自分への執着から離れることが出来ない。自分を捨てることが出来ない。これはぼく自身も同じことだ。

 それを関口は見抜いているのだ。

 ぼくと辻はつい最近まで対立する立場にいたのはいうまでもない。だが、そんなふたりがチームとして手を組んだとして、それが上手く行く保証は何処にもない。いや、むしろ失敗する可能性のほうが高い。何故なら、ウマが合うならば始めからトラブルなんて起きようがなかったのだから。

 ぼくと辻はイビツな形をしたふたつのパズルのピースだ。そして、それはハマっているようでハマっていない。そのハマっていないピースのイビツさに関口は付け込んで来たのだ。辻だって関口に色々と酷い目に逢わされたひとりだ。ならば、辻も剥きになって関口に突っ掛かって行くことはわかりきっている。なら、どうする?

 ぼくはバレないように深呼吸した。席を立った。みんなの視線が集まる。

「ごめん、ちょっとトイレ」

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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