クラウディオス・プトレマイオス(3)
文字数 846文字
中世イスラーム圏ではマスウーディーのほか、10世紀のアブル・ファラジ・イスハーク・ワッラーク・ナディームや11世紀のサーイド・アンダルスィーがプトレマイオスの小伝を書いている。サーイドによるとプトレマイオスは上エジプト出身であるという。14世紀ビザンツの天文学者テオロドス・メリテニオテスはプトレマイオスの出身地を上エジプトのナイル河畔の町プトレマイサ・エルミアと記載している。テオドロス・メリテニオテスの説は正しい可能性がある。
プトレマイオスは、天動説に基づく、円運動の組み合わせで天体の運動を説明する理論を作り上げ、古代ギリシャの天文学を集大成した。彼の理論は、当時の観測誤差の範囲内で主要な現象を説明した。そして、アリストテレスの自然学と結びついて、中世のアラビア語圏や13世紀以降の中世ラテン語圏で受け入れられた。
この方面のプトレマイオスの主要な著作は、『アルマゲスト』、『簡便表』、『惑星仮説』である。
主著『アルマゲスト』は、天体の軌道の幾何学的な理論が主な内容だが、天文学の方法論、観測、時間の決定、理論に現れるパラメータの決定、必要な数学の説明、簡単な宇宙論の概要など、天文学の様々な側面を秩序立てて説いている。
計算に便利なように『アルマゲスト』の各所に散らばる表をまとめ、さらに新たな表を加えて使用方法の説明を付したハンドブックが『簡便表』である。計算をするだけならば『簡便表』で足りるようになっており、また逆に『アルマゲスト』のみをもとに計算を進めるのは、少なくとも実用的とはいえなかった。