フアナ・エンリケス

文字数 1,679文字

フェルナンド2世カトリック王の異母兄カルロス・デ・ビアナについて話題にしたので、次は彼の継母、つまりフェルナンド2世の母フアナ・エンリケスについても調べてみました。作品集は下の画像から入ってください。
これはポブレー修道院にあるフアナ・エンリケスの墓碑です。
これは墓碑だから静かなイメージだけど、実物は絶対にこういう人ではなかったと思います。
フェリペよ、君らしくもない。厳しいことを言うではないか。
だってカルロス・デ・ビアナからすれば継母です。絶対に意地悪な人です。
フアナ・エンリケが生まれたのは1425年で1444年、19歳の時にアラゴン王フアン2世と結婚します。
カルロス・デ・ビアナが生まれたのは1421年だから義理の息子よりも若い継母ということになります。
私の父ペドロ4世が最後に結婚したシビラ・デ・フォルティアは私と同じ1350年生まれです。父が自分と同世代、あるいは自分より年下の後妻をもらうということは、ものすごく嫌なことです!
フアン2世は1397年に生まれているので、フアナ・エンリケスと結婚した1444年には47歳です。
余が結婚したのは48歳ぐらいだが、それまで修道士として生きてきて、アラゴン王になったのが47歳の時なのでそれは仕方がない。
ラミロ2世のような場合はいいです。でも跡継ぎとなる子がいながら若い後妻と結婚するというのは許せないです。
フェリペよ。王家の政略結婚というものは君が想像するよりも遥かに複雑なものである。
フアナ・エンリケスの父はカスティーリャの貴族でエンリケ2世王の弟ファドリケ・アルフォンソの子孫です。
カスティーリャのエンリケ2世王というのは私の父ペドロ4世と戦ったペドロ1世を殺した王ですよね。
はい、エンリケ2世は庶子でしたがペドロ1世と戦ってカスティーリャ王になりました。そのあたりのことはペドロ1世の漫画に詳しく書いてあります。
なんか凄い因縁のある話ですね。カスティーリャの王位を巡る争いの子孫が今度はアラゴンにやってきて・・・
フアナ・エンリケスはフアン2世に対して自分の子フェルナンドをアラゴンとナバラの王位継承者にするよう迫っていました。
ナバラ王位を巡って息子のカルロスと対立し、若い王妃は自分の息子を後継者とするよう迫っている、フアン2世はなかなか大変な立場にいたようだ。
フアン2世に関しては息子のカルロスとナバラ王位を巡って対立しただけでなく、その後アラゴンでは対立王が出たりカタルーニャで反乱が起きたりといろいろ大変ですが、そのことはまたフアン2世についての話の時に詳しく説明します。
アラゴンは私の弟マルティン1世の死後大変なことになっていたようです。
カルロス王子の死後、妹のブランカ王女が名目上のナバラ王位につき、ブランカ2世と呼ばれていました。でも彼女は父フアン2世によって投獄され、1464年に亡くなっています。毒殺されたとも言われています。
1462年にカルロス・デ・ビアナが亡くなり、1464年に妹のブランカ2世が毒殺されている。フアナ・エンリケスにしてみれば邪魔な先妻の子が都合よく次々と死んでいるのですね。
1467年、フアナ・エンリケスはカルロスのもう1人の妹レオノール王女と会談を行い、レオノール王女がナバラを継承するのと引き換えにアラゴン王位継承を放棄することを約束させます。ナバラはその後レオノール王女の子孫が引き継ぐことになります。
さすが陰険な継母、ここで自分の子フェルナンドがアラゴン王になることをしっかり決めています。ナバラ王位は元々フェルナンドにまわってくる確率は低いから手放しても惜しくはない、敵ながら見事です。
1469年にフェルナンド王子はカスティーリャ王女イサベルと結婚します。
なんかフアナ・エンリケスの望んだシナリオ通りになっていますね。
ただフアナ・エンリケスは1468年に43歳で亡くなっているので、フェルナンド王子とイサベル王女が結婚する前です。それでも母フアナ・エンリケスの活躍があったからこそフェルナンド王子は無事アラゴンの王位を継ぐことができたのだと思います。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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