スペイン語で読むアラゴン4代目の王アルフォンソ1世(2)

文字数 2,084文字

さあ今日も張り切ってスペイン語で兄上アルフォンソ1世の生涯をたどろうと思ったのだが・・・おかしい・・・どうもやる気が出ない。
亡霊でもやる気があったりなかったり、気分で左右されることがあるのですか?
余は特に人生の大半を修道士として生きたのだから、個人の感情に左右されることはないはずだった。
自分では押し殺したつもりであっても、人間である限り感情はどうしても残ってしまいます。ましてラミロ2世は兄アルフォンソ1世に対して強いコンプレックスがあったのですから。
コンプレックスなどというマイナスの感情は余にはない。常に修道士として神の前で正しく生きてきたのだから。
わかりました。とりあえずアルフォンソ1世の生涯について続けましょう。パネル写真から作品集に入れます。
1118  Un concilio celebrado en Tolosa concede benefisios de Cruzada a cuantos acudan a la conquista de Zaragoza. Se prepara el asalto final a la ciudad con el concurso de la hueste ultrapirenaica habiendo ocupado antes Almudévar, Gurrea de Gállego y Zuera. El asedio se formaliza el 22 de mayo y la ciudad capitula el 18 de diciembre.
1118年 トロサで公会議が開かれ、十字軍の費用がサラゴサ征服にも使うことが認められる。攻撃の準備が始められ、ピレネー山脈を越えたアルムデバール、グレア・デ・ガレゴ、スエラからも援軍が得られた。5月22日から包囲が行われ、12月18日にサラゴサは降伏した。
1119ー1120  El reino se expande con la incorporación de Tudera, Tarazona, Soría, Calatayud, Daroca y otras tíerras.
1119年ー1120年 王国は広がり、トゥデラ、タラソナ、ソリア、カラタユド、ダロカやその他の土地が合併された。
1121 Realiza una expedición militar a Andalucia.
1121年 アンダルシアへの遠征を行った。
1125  Asola la zona de Levante, Córdoba, Granada, Malaga y "libera" gran múmero de mozárabes, que asienta en tierras aragonesas.
1125年 レバンテ、コルドバ、グラナダ、マラガを壊滅させてたくさんのモサラベ(イスラム教徒の征服した地域でキリスト教の信仰を守った人)を自由にし、アラゴン人がそれらの土地に住む土台を作った。
1127   Se formaliza el pacto de Támara con AlfonsoⅦ de Castilla para rechazar a los almorávides y hostigar el reino de Valencia.
1127年 ムラビート朝と悩まされていたヴァレンシア王国を撃退するために、カスティーリャのアルフォンソ7世とタマラの条約を結ぶ。
1128  Molina de Aragón se incorpora al reino.
1128年 モリナ・デ・アラゴンが王国に加わる。
アルフォンソ1世の時代、アラゴンはどんどん広がっていますね。本当に戦士王の名前にふさわしい活躍ぶりです。
サラゴサは現在もアラゴン州で1番大きな都市です。バルセロナからAVEで2時間弱の場所にあります。
宿敵であったサラゴサを手に入れても、アルフォンソ1世の野心は終わっていません。その先の場所に行っています。
アルフォンソ1世は余にとっても理想の王だ。その高い戦闘能力でアラゴンを大きくしている。
そしてこの時代の戦争はただ領土を広げるだけでなく、十字軍や教会も味方してくれ、イスラム教徒の支配する土地を取り戻し、そこに住むキリスト教徒を開放するという大義名分もあります。だからこそアルフォンソ1世は戦士であることに大きな喜びを感じていたのでしょう。
だが、王として最も大切な使命、世継ぎを残すことをしなかった。そのために余は大変な目にあった。想像してくれ、戦士王として称えられた兄上のすぐ後に、修道院育ちで全く戦えない余が王になったのだ。余がどれほど惨めだったかわかるだろう。
その状況で王になるのは大変だと思います。
余が悪口を言われるだけならまだいい。だが、各地で反乱が起き、王国は滅亡の危機にさらされた。すべては兄上が戦争に夢中になり過ぎて世継ぎを残さなかったことが原因だ。
確かにそうです。
王様は世継ぎを残すということが大切な仕事なんだにゃー。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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