名前を呼ぶことの重要性
文字数 1,157文字
スペイン語では自動詞がなくて他動詞を使って自分自身の行動を表現する再帰動詞がよく使われます。llamarは呼ぶ、電話をかけるなどの意味があって、自分は○○という名前で呼ばれている、という表現が私は○○という名前です、という意味になります。
そなたの説明はわかりにくいが、まあいいだろう。今日の会話の目的は再帰動詞についてではない。llamarという言葉の重要性について伝えたいのだ。なぜ、llamarという単語に電話をかけるという意味があるのか、そなたにはわかるか?
今はみんなスマフォや携帯を使っていますが、昔は電話は家に1台しかなく、話したい相手の名前を言って呼び出してもらわなければなりませんでした。だから llamar に電話をかけるという意味も含まれたのだと思います。
余は電話という物がない時代に生きたからよくわからないが、多分そうであろう。電話でも亡霊でも誰でもいいから呼び出して話すというわけにはいかない。名前と姿を思い浮かべ、その名前を呼ぶことで初めてその相手と繋がり、会話をすることができる。
そなたは亡霊について大きな誤解をしている。そのあたりにたくさんいる浮遊霊ならともかく、余のように身分が高く、長い年月生きている亡霊は、それなりに手順を踏まえ、名前を呼んで召喚しなければ、人間の前に姿を現すことはない。
*個人の見解です。
人間の世界を混乱させないために、我々亡霊はたくさんの掟を作り、それを守って生きて来た。中でも名前を呼ばれない限り姿を現してはいけないというのは、最も重要な掟の1つだ。そなたも余の小説を書くのなら、そこはきっちり守って欲しい。
*個人の見解です。