名前を呼ぶことの重要性

文字数 1,157文字

¿Cómo se llama ?

コモ セ ジャーマ

あなたの名前は何ですか?

Me llamo Petronila.

メ ジャーモ ペトロニーラ

私の名前はペトロニーラです。

これくらいのスペイン語会話はできるのだな。
当たり前です。スペイン語教室で最初に習うのがこの自己紹介だし、ガイドブックの中の会話集にも出てきます。
便利な時代になったものだ。だが、余は別にそなたのスペイン語能力を試したわけではない。名前を呼ぶことの重要性をそなたに認識して欲しいのだ。
名前を呼ぶことの重要性ですか?
llamarseという動詞について、スペイン語を知らない者にわかりやすく説明できるか?
えっと llamarse というのは再帰動詞で、~という名前です、という意味です。
再帰動詞とは何ぞや?
スペイン語では自動詞がなくて他動詞を使って自分自身の行動を表現する再帰動詞がよく使われます。llamarは呼ぶ、電話をかけるなどの意味があって、自分は○○という名前で呼ばれている、という表現が私は○○という名前です、という意味になります。
そなたの説明はわかりにくいが、まあいいだろう。今日の会話の目的は再帰動詞についてではない。llamarという言葉の重要性について伝えたいのだ。なぜ、llamarという単語に電話をかけるという意味があるのか、そなたにはわかるか?
今はみんなスマフォや携帯を使っていますが、昔は電話は家に1台しかなく、話したい相手の名前を言って呼び出してもらわなければなりませんでした。だから llamar に電話をかけるという意味も含まれたのだと思います。
余は電話という物がない時代に生きたからよくわからないが、多分そうであろう。電話でも亡霊でも誰でもいいから呼び出して話すというわけにはいかない。名前と姿を思い浮かべ、その名前を呼ぶことで初めてその相手と繋がり、会話をすることができる。
ちょっと待ってください。どうして亡霊と電話を一緒にするのですか?亡霊なんて好きな時に勝手に出てきて勝手にしゃべると思ってますが・・・
そなたは亡霊について大きな誤解をしている。そのあたりにたくさんいる浮遊霊ならともかく、余のように身分が高く、長い年月生きている亡霊は、それなりに手順を踏まえ、名前を呼んで召喚しなければ、人間の前に姿を現すことはない。

*個人の見解です。

そういう決まりがあるのですか?
人間の世界を混乱させないために、我々亡霊はたくさんの掟を作り、それを守って生きて来た。中でも名前を呼ばれない限り姿を現してはいけないというのは、最も重要な掟の1つだ。そなたも余の小説を書くのなら、そこはきっちり守って欲しい。

*個人の見解です。

わかりました。
亡霊の掟にゃんて聞いたことにゃいけど・・・
もしかして、この話は面白くにゃるかもしれない・・・
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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