影の薄い亡霊フアン1世が話し相手となる

文字数 754文字

今日は2000字コメディに新しく『影の薄い亡霊フアン1世が話し相手となる』を投稿しました。作品のページには下の肖像画から入ってください。
私のような者を主人公にしてもらえてうれしいです。
僕はあの話を聞いて最初は完全に人選じゃなくて亡霊の選び方を間違っていると思いました。まあ、弟を困らせたいという意地悪な気持ちがあったから別にいいですけど・・・
意地悪などという邪な感情は亡霊は持っていない。
それにラミロ2世は修道院暮らしが長いから深い叡智を兼ね備えている。余はラミロ2世の人を見る目というか深い洞察力に感動した。
余は自分の家族についてはよくわからない。だが、長く生きて人間の本質についてわかるようになってきた。フェリペの異母弟マルティンは明るく見えて深く傷つき苦しんでいた。このままでは心を閉ざし本心を隠して生きるようになってしまう、だからフアン1世を呼び出した。
私は生きている時も死んでからも評価されるということはまずありませんでした。無気力な不真面目王とばかり言われていました。でも私も最初から不真面目で無気力な人間であったわけではありません。
そうだよね。
私も10代の頃は夢と希望を持っていました。でも結婚して生まれた子が次々と死んで妻も死んでしまった。人間は悲しみが大きすぎると泣くこともできなくなり、何も感じないように生きてしまいます。何も感じなければ傷つくこともありません。でもそれは何もできない不本意な生き方になってしまいます。
フアン1世は不本意な生き方をして亡霊になってしまいました。でもだからこそ深い悲しみを知っている。そんなフアン1世のよさをわかってくれる人が増えたらうれしいです。
僕は話を聞いて最初はフアン1世に任せるのがすごく不安でした。でも話を聞いていてフアン1世のフアンになりました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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