シュテファン・ツヴァイク(5)
文字数 919文字
『人類の星の時間』または『歴史の決定的瞬間』は1927年に出版された、シュテファン・ツヴァイクの歴史的短編集。原作はドイツ語で、1940年版の英語訳では題名をThe Tide of Fortuneとした。歴史上の運命的な瞬間(「星の時間」)を描くエッセイ集であり、初版は5本構成だったが、1943年の第2版で12本に、1964年版で14本になった。初版は1928年末までに13万冊売れて成功を収め、以降英語訳、日本語訳など諸国誤訳が出版された。
ツヴァイクは『人類の星の時間』で歴史を詩人に見立てて、序文で「色づけたり誇張したりすることを(中略)避けた」と前置きした上で、「星の時間」をエッセイ形式で描いた。歴史の中には取るに足らない平凡な出来事が多数あり、これらの出来事を取り除くと、歴史を変えた鍵となる出来事、すなわち「星の時間」のみが残る。この「星の時間」には素晴らしい曲が出来上がるといった結果をもたらすこともあれば、一国が滅ぶ残酷な結果をもたらすこともある。
収録された出来事は版によって異なる。1つ以上の版で収録された出来事は下記の通り。
1. キケロ 紀元前43年12月7日、キケロが暗殺される
2. 不滅の中への逃亡 1513年9月25日、バスコ・ヌーニュス・デ・パルボアが太平洋を発見
3. ビザンチンの都を奪い取る 1453年5月29日、コンスタンティノープルが陥落
4. ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデルの復活 1741年8月21日、ヘンデルが『メサイア』を作曲
5. 一と晩だけの天才 1792年4月25日、ルージェ・ド・リールによるラ・マルセイエーズ作曲