ジャン・ジェルソン(2)

文字数 1,691文字

コンスタンツ公会議を主導したフランスの神学者ジャン・ジェルソンについての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
ジェルソンの最大の業績はなんといってもカトリック教会の大危機であった教会大分裂(シスマ)を克服させたことである。1378年のグレゴリウス11世の死後、教会には2人の教皇が立っていた。これは中世の人から見れば、唯一であるはずの教会が2つになり、1人であるはずのキリストが2人になったかのような異常事態であった。教会分裂のもともとの原因はフランス王にあったため、心あるフランス人たちはその責任を感じていた。
原因となったフランス王というのは誰ですか?
たぶんフィリップ4世(1268年ー1314年)端麗王のことだと思います。ローマ教皇と対立してアナーニ事件を起こし、教皇庁をアヴィニョンに移し、テンプル騎士団を異端として弾圧しています。
かなりいろいろなことをやっているではないか。そんな王が「端麗王」などという名前でもてはやされたのか。
顔が問題になるのはフランスの特徴です。アラゴン王は顔についての渾名はついていません。フィリップ4世の母イザベル・ダラゴンはアラゴン王ハイメ1世の娘です。
つまりフィリップ4世は余の曾孫にあたるわけか。アラゴンの血が混ざれば整った美しい顔立ちになり、「端麗王」と呼ばれる。よく覚えておくといい。
ペドロ2世、今話題になっていることはフィリップ4世が教会大分裂のきっかけを作っているということで、顔の美しさではありません。
ジェルソン、ピエール・ダイイ、クラメンゲスのニコラスといったパリ大学の重鎮たちは教皇クレメンス7世の時代、パリ大学の名において教会分裂収拾への3つのロードマップ(あるいは選択肢)を提示した。それは「協議の道」、「妥協の道」、「公会議の道」といわれるものであった。フランス王や教皇たちに働きかけるパリ大学の努力が続けられた結果、ついに対立する教皇たちに教義についての合意を取り付けるまでにいたった。
クレメンス7世(対立教皇)の在位は1378年から1394年までです。
コンスタンツ公会議が行われる前にはジェルソンを中心としたパリ大学の教授たちの長い交渉があったのですね。
しかし、ヨーロッパの諸王たちは、分裂の収拾において教皇たちが話し合って解決するよりは、各国の枢機卿団の思惑が通りやすい公会議の方が自分たちの政治的意向を反映させうると考え、公会議開催への世論と圧力を高めていった。ジェルソンは多くの文書をあらわして分裂収拾を方向付けていったが、そこからは初めは「協議の道」にかけていた希望が結局教皇たちの指導力のなさによって果たされず、徐々に公会議への期待に転換していくことが読み取れる。
そんな複雑な状況になっていたのか。
最終的に事態は、公会議の強力なイニシアティブによってしか解決できないところまで追い込まれていた。というのも新たに教皇ヨハネス23世を選出したピサ教会会議が対立教皇の解決どころか、第3の教皇をたてるという最悪の結果を引き起こしてしまったのである。ダイイはここにいたって公会議でも解決はできないと失望したが、ジェルソンはあきらめなかった。
ピサ教会会議は1409年にピサで行われてアレクサンデル5世が選出されましたが、グレゴリウス12世とベネディクトゥス13世は納得せず3人の教皇が立つことになりました。アレクサンデル5世は翌1410年に亡くなり、ヨハネス23世が教皇に選出されています。
ジェルソンはまたもう1つの理由で公会議の実施を熱望した。それは同じころに起こった(ブルゴーニュ公ジャンの支持による)オルレアン公ルイの暗殺を合法的なものとして支持した神学者ジャン・プティに対するパリ大学とパリ司教の弾劾の実効性を公会議で確認しようとしたからである。
シャルル6世の弟であるオルレアン公ルイは1407年に暗殺されました。
ブルゴーニュ公ジャンというのは、ニコポリスの戦いに参戦して捕虜になったヤツか。
私の義理の孫シャルル7世の敵です。
この時代は本当にいろいろな事件、いろいろな人物が複雑に絡んでいるのですね。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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